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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~49-59話

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 次の日、学校で事件が起こる。
「きゃぁぁぁ!佐々木さんが吐いて倒れた!」
 保健室では原因が掴めず、病院に行く事になったが佐々木さんがそれを拒否した。
 何かある。そう思ったアリサは、シャマルを呼んだ。
「こちらの先生なら、秘密は絶対厳守して下さいますわ」
 そう言って、診察を受けさせる。
「アリサちゃん、やっぱり心配した通りよ」
「やっぱり……」
 すぐに呼ばれたのは退職した秋川先生だった。
「どうするのかは、二人で話し合って決めなさい、どうしてもっていう相談ならシャマル先生が乗って下さるから」
 結局、シャマル先生を交えて3人で話し合う。
「どちらにせよ私は、このことをきちんとご両親に伝えてその上で、お許しを頂くのが筋だと思います」
 そう、彼女は妊娠していた先生の子供を。
堕ろすにせよ、生むにせよ、二人だけで決めて良い問題ではなくなっていたのだ。
「私個人としては、命を消す事には反対します。
でも新しく生まれ来る命が不幸になってはいけないの、だから双方のご両親も入って話し合うべきだと思うわ、それに手術をするにせよ余り時間がないわよ」
 シャマルはアメリカでもそう言う事に心を痛めていた。
簡単に中絶をしに来る女性の何と多い事か?
本当なら祝福されるべき命をつみ取らなければならない。
医者としてこれほど辛い事はなかった。
 こうして彼女は学校を辞めていった。
 アリサは、理事長として辛い決断をしなければならない事にぐっと唇を噛みしめていたという。
 なのは達にもこのことは伝えられた。
「他言無用」とした上で……
「わ、私ももっと気を付けないと」
 まだ、子供を産めるような体でもなく、生むとなれば命をかけなければならない身、出来ないように細心の注意を払わないと自分の命すら危なかった。

 日本へ帰ってきたシャマルは聖詳大付属病院の臨時医師として働き始めた。
9月にはまた世界へ旅立つ身である為大きな手術やシフトの穴を埋める時だけの勤務だが、それでも大学病院の大きな戦力だった。