神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~49-59話
第56話 女神が去った後で
「学長、今まで本当にお世話になりました」
卒業試験に合格し7月中旬のある日シャマルはカリフォルニア医科歯科大学を卒業した。
「世話になったのはこちらの方だ、何とお礼を言ったらよいか分からない」
学長も彼女が去る事を惜しんで引き止めた一人だった。
「本当はいつまでもここにいて欲しいのだが……」
「ええ分かっています、でも世界中にはまだ助けを待っている多くの人たちがいるんです。
私はその為に行くんです、それに私の故郷でも私の帰りを待ち望む人たちが大勢居るんです。
だから私は自分を磨いてきたいんです」
医療の道に全てを捧げた彼女にとって、それは当たり前の選択かも知れない。
「フロリダに行く前にもう一度立ち寄らせて頂きますわ」
そう言ってシャマルは大学病院を後にした。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~49-59話 作家名:酔仙