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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~49-59話

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第50話 なのはin L.A (中編)

「じゃあ日本から?」
「はい、こんなに元気に成れましたよって見せに来たんですけど……難しい手術の最中だったみたいです」
 学長はシャマルの人柄に感心した。
その人を引きつけて止まない優しい人柄に。
「それで君は一体どんな手術を?」
「腕頭動脈吻合術です、事故で切断してしまって」
 学長がその言葉に信じられないという顔をする。
普通ならほぼ即死、持って1時間の命となる大ケガだ。
まともに手術しても追い付く物ではない。
 ここにまた一人奇跡の体現者がいる事に学長は驚いた。
(彼女は紛れもなく神だ!そうとしか言い様がない!)
 この勘違いはシャマルがこの病院を去ってなお女神伝説として語り継がれる事になる。
「しかし、よく障害が残らなかった物だ」
「私もよく分からないけど奇跡的に問題なかったみたいです。
シャマル先生以外にテル先生や安田先生、北見先生がいましたから」
 それで納得が行った。
安田に北見と言えば医学界でも神と讃えられた人間、その弟子まで加わればどんな奇跡でも起こせると医学の限界を超える奇跡を起こせると確信した。
「お嬢ちゃんありがとうね、いい話を聞かせて貰った」
「ほえ?」
「プロジェクト・ヴァルハラか……
私が後20才若ければ絶対に参加していたのに……」
 学長は非常に残念だった。
もう少し若ければ自分もヴァルハラに行っていたかも知れない。
参加できたらこれほど名誉な事はないと考えていた。
 そしてヴァルハラから巣立つ弟子達が世界の医療を変えて行くのだとそう考えた。だがその様を見る事は恐らく自分には出来ないだろう?もう70を過ぎようとしている。
 後はこの大学でどれだけ優秀な医師が育つかを眺めながら余生を過ごすのみとそう考える学長だった。