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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話

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 夜、御神宗家本宅にて、かなりの人数が集まっている。
40~50人いるだろうか?
 その席で一番始めに口を開いたのはアリサだった。
「皆さん、聞いて下さいもうすぐ世界中同時不況の嵐が来ます」
 それは衝撃的な内容だった。
「実は傘下の証券会社、銀行、金融会社、生命保険会社で資金が焦げ付いていまして、その額は900兆から1000兆になる見込みです。
各社の社長や重役達がこの私に報告を入れず、そのまま問題を放置した為何十社かは潰さないといけなくなりました。
これを実行した場合、世界同時不況が訪れます」
「その情報なら、こちらでも掴んでいる」
 恭也がそう言った。
「それぐらいの数字ならバニングスグループ内で何とかなるんじゃないのか?」
「円じゃあなくてドル立ての金額ですよ」
 話が既に大きすぎた。
「皆さんの中にも会社勤めされている方が見えると思いますが恐らく煽りを受けて倒産するでしょう?
バニングスと致しましても社長以下重役には責任追求と損害賠償を請求しますが、一般従業員を路頭に迷わせる訳にはいきません。
ですから受け皿となる新しい会社を準備して、そこの警備にある程度の御神一族が欲しいのです。背に腹は替えられないのだから」
「ここで俺からの提案なのだが、海外にいる一族の子供達をこの里へ集めてはどうだろうか?
この里でここの子供達と競わせてある程度のレベルに達したら俺の所へ出稽古に来るのも良いだろう?その時は海鳴の街のどこかに住めるよう手配しよう」
 士郎は人材育成計画をそう提案した。
「それから次期当主問題だが、暫く棚上げにしようと思う。
もし新たな世代の中から有望な若者が育ったなら、そいつを俺が手塩に掛けて指導してやる、そいつを次期当主に据える」
 士郎はそう言って一族の反応を待った。
 結局士郎の提案がそのまま通る形となった。
「そろそろ御神に新しい風を入れる時かもしれんなぁ」