神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話
第65話 その突きは人を殺す
お祭りも終わり翌朝からきつい練習が再開される。
三日間何もしなかっただけで結構きつい。
まだ体が慣れていないのだと確信する。
それでも以前よりだいぶマシだった。
少しずつでも確実に強くなっている。
そして夜の稽古ではまた新しい技を教えて貰える時が来た。
「今日から打撃技と居取りを教える。
まず打撃技だがまだ試合では使うなよ、危険すぎるから。
じゃあ、まず握り方からだ。
これが正拳の握り、これが中高一本拳、これが中高二本拳だ」
中高一本拳は中指の後ろに親指を入れて中指を立てた拳の握り、
中高二本拳は人差し指と中指の後ろに親指が来るようにした握りだ。
「これらの握りを使って打撃を入れる訳だが顔を狙うなよ、
人間の頭蓋骨というのは思ったより頑丈なんだ自分の拳を痛めるぞ。
まず中高拳の握りだが、これは目、鼻、喉を狙って攻撃する握りだ。
他にも体中のツボを狙って殴ったりする。
用は急所を狙って打撃を入れる事でピンポイントで相手にダメージを与えて、動けなくしたり戦意を削いだりする握りだ」
(作:そう言えばシグナムさん中高拳の握りでティアナを殴ってませんでした?なんかもの凄く痛そう)
「次に正拳だが、これは中段に構えて相手の鳩尾を狙う、顔は極力狙わない事だ。
自分の手を痛めるぞ、それから突き方も空手とはだいぶ違う、実際見て受けて覚えるしかないな」
最初の犠牲者はなのはだった。
軽くトンと突かれたように見えた。
次の瞬間意識を失ったなのはが崩れ落ちた。
見ていた誰もが信じられないという表情だ。
実際シグナム達と戦った闇の書事件の時でさえこれ以上の打撃を腹に受けても持ち堪えていたのに、いとも簡単に崩れ落ちたのだ。
「喝っ!」
活を入れられ、なのはが目を覚ます。
まだゲホゲホと咽せていた。
その後全員同じように一撃を入れられ崩れ落ちた。
その後活を入れられ目を覚まして改めてその恐ろしさに戦慄した。
見た目軽い打撃なのに衝撃が筋肉のガードを素通りして内蔵にもろに突き刺さる。
手加減無しにやられたら一命に関わる危険な打撃だった。
あの時美由希が使ったのもこの正拳だったのだ。
「この打撃は中国拳法で言う所の寸勁と同じ突き方をする物だ。
簡単には習得出来んが覚えればこれだけで必殺技になる。
ただ注意しないと相手を殺してしまうぞ」
そう、なのは達はとうとう殺人技にまで足を踏み入れたのだった。
「そうだ、半歩踏み込んで順突きで軽く前に撃ち出すんだ。
打撃が当たった瞬間に全体重を拳に集中して少しだけ押し出すんだ。
まだ、難しいようだな?まあこれも毎日500本ずつ突きの練習をして体に覚え込ませるしかないな?」
これはまだなのは達には使えない技のようだ。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話 作家名:酔仙