神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話
「さて、ヴィータちゃんは今日は見学のみと言う事で……」
「いや、やらせてくれ!」
さっきのでヴィータの闘争心に火が付いたようだ。
「じゃあ、なのはかフェイトちゃんで相手をしてやってくれ」
そう士郎が言った時だった。
「俺が相手をしよう」
さっきの護衛の男だった。
「この人弱そう」
なのはが厳しい突っ込みを入れる。
「さっきはほんのちょっと油断しただけだ!
俺だって本気になればもう少しマシに戦えるんだ!」
子供を相手に何をムキになっているのだろう?
と言うかこいつは一体何がしたいんだか?
「俺だってストライクアーツの有段者だ、今度は負けん!」
ストライクアーツ:ミッドチルダで最も競技人口の多い格闘技、
徒手空拳で打ち合うのが基本であり体系的にはシュートボクシングとよく似ている。
「まあいいや、さっさとやろうぜ!」
ヴィータが開始線に立って待ち構えていた。
「始め!」
その瞬間、男は強烈な回し蹴りをヴィータの側頭部を狙って入れてくる。
でも読まれていた。
ステップを刻む格闘技はそのステップの変化でどんな技が来るのかが読まれやすい。
その蹴りを紙一重でかわしざまにその足を取って内側に捻る。
小手捻りの足ヴァージョンだった。
男は足を中心に回転し顔面から畳に叩き付けられた。
本日2度目のノックアウト情けない限りである。
「やっぱ気持ちいいわ、この所勝ってなかったし♪」
勝ったヴィータはご機嫌だった。
レティ提督は思った。
(何でこんなに弱い奴を護衛に付けたかな?)
「まあ、今夜はこんな所だろう?」
士郎がそう言って稽古が終了した。
ただ、レティ提督にとってこの見学は大きな収穫だった。
まだなのはの復帰は認められない物の復帰したら、この技をミッドチルダにも伝えて欲しいと、この格闘技ならランクの低い魔導師であっても、充分に危険な相手と戦う事が出来ると確信した。
「この技を伝えて貰うなら、なのはさんの人事は武装隊より教導隊の方が良い、もう一度人事を見直すか?」
レティ提督はそう考えながら高町家を後にした。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話 作家名:酔仙