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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話

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 一通りの型を終えたなのはが尋ねる。
「ねえ、御式内ってどれ位強くなれば初段なの?」
「そうだな、表の技118種類を全て伝授が終われば大体初段並みだ」
「そうなんだ?でも表って言う事は裏もあるの?」
「裏の技は完全な殺人技だ、表の技でも人が死ぬほどの威力があるが裏の技は確実に殺せる技だ。全部で53種類ある。
全て伝授が終わって2段から3段程度、その上には奥義が36種類あるが全て覚えたら7~9段並になる。
奥義は簡単には教えられない技なんだ」
 士郎の説明になのはは確信した171の技を覚えて、更に奥義のいくつかを覚えれば復帰は可能だと。
 でも今のところ居取りと寸勁で伸び悩んでいる。
これをクリアしない事には次の技を教えて貰えそうになかった。
「ねえ、お兄ちゃん、あの正拳突きってどうやったら身に付くの?」
 なかなか教えてくれない士郎より恭也に聞いてみた。
「あれは一にも二にも型稽古だな?完璧な型が出来て始めて使えるようになる。
使えるようになったら、そこから如何に型を崩しても撃てるように鍛える事だ。
1回だけ型を見せるからよく見て覚えろコツは型の中にある」
 恭也が立ち上がる。
その場に立っているだけで美しいたたずまい、そこから右手右足を前に半身に構える。
 腕は中段やや低めに、拳は縦にして半歩踏み込む瞬間短く鋭く突く、
左手は水平になるように肘を曲げ体の後ろに捻り込む。
「もう一回だけ突いてみて!」
 なのはは、恭也の姿を少しでも見逃すまいと目を皿のようにしてその動きを見つめた。
「そうか!呼吸だ!」
 どうしても突きの鋭さが出なかったのは体の運びに呼吸が合っていないからだった。
 呼吸が合うようになってくると型の悪かった所が体で判ってくる。
足の位置、特に左足の位置、足の向きが悪かった。
 体の方が上手く使えるようになってくると、
更に筋肉の使い方を体が教えてくれる。
 腹筋と背筋を更に動きに合わせて上半身の筋肉を締めるように力を入れる。
「!」
 何かを掴んだなのは、それから何度と無く型を繰り返す。
どおやら寸勁の糸口を掴んだようだ。
「フッ、どおやらコツを掴んだようだな。
そこから如何に力を抜きつつ鋭く技が出せるようになるか?
それが最期の難関だ」
 士郎が嬉しそうに声を掛けた。
 そして、居取りの練習へ、今日の相手はシグナムだが、
「!」
 やはり何か掴んだようだ。
もうどんな打ち込みをされてもそれを取れるようになっていた。
「そうか!呼吸だったんだ?」
「どうやら判ったようだな?その手品の正体は呼吸だ。
居取りはこちらが先に手を出せばその手を斬られる、かと言って遅すぎると体や頭を切られて死ぬ。
だから、タイミングを合わせるには呼吸を読む事、それが基本にして極意だ」
 それを体が理解した時新しい世界が開けた気がした。
それを不思議そうにはやて達が見ていた。

 そして最後の締めは試合だった。
「シグナムさん、おねがいなの」
「受けて立とう」
 開始線に立って睨み合う二人、「始め」の合図の瞬間だった。
綺麗に投げられていたのはシグナムだった。
 何が起こったのか全く判らないといった様子だ。
受け身を取る事すら出来なかった。
「呼吸を読む事に加えて間合いを掴む事も出来るようになったようだな?」
「うん!まだ冷や冷や物だけど何とか決められるようになったよ」
 士郎は思った。
(技こそ知らないけれど実力は既に初段並みだ)と……