神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話
第69話 体育祭に向けて
九月三日、本格的に学校が始まる。
毎日の稽古でもやっとはやてとヴィータが追い付いてきた。
「いや~まさか呼吸を読む事と呼吸を整える事で技を強化するなんて思わなんだわ」
はやての素直な感想だった。
「呼吸を読み、呼吸を整え、呼吸を合わせる、それが御式内の基本にして奥義の一つだ」
士郎はそう言った。
はやて達はまだそこまで到達していないがなのははその入り口に立っていた。
始めて寸勁を覚えた日、シグナムを一瞬で投げたあの瞬間こそ奥義の糸口だった。
そんな事とはつゆ知らず新しい技を叩き込まれる。
今度は蹴り技と関節技だった。
「そうだ御式内の蹴りは帯より上を蹴らない、基本的にはな。
蹴りは踵で蹴るんだ。
踏み込んできた足を狙って踏み付けるように膝、脛、足の甲を狙え、
横蹴りで足刀を使うのも有りだ。足をゴルフのスイングのように振りながら
足刀で脛の外をすっぱり斬るつもりで振り抜け!」
蹴り技は他の格闘技に比べると随分地味だった。
しかし、効果は絶大だ。
蹴られると立っていられなくなる。
本気でやられると一撃で足が砕けるという。
「ついでに唯一のミドルキックを教えてやろう。ただし53の殺人技の一つだ。
そうだ足の親指で腎臓、肝臓、胃のどれかを突き抜くつもりで蹴るんだ。
決まれば確実に内臓破裂を起こして死に至る」
それはとても危険な蹴り技だった。
「次は腕固めを教える。
そうだ小手捻りの要領で腕を掴んだらそのまま後ろに回り込んで空いた方の手で肩を押さえつつ掴んだ手を捻り上げるんだ。
腕固めにはこんなパターンもあるぞ!」
そう言って手を取るとなのはを簡単に押さえ込む士郎、
「痛たたたたたたたぁ」
掛けられた技をすぐに真似をして覚える。
あの寸勁と居取りを覚えて以来技の覚えが早くなった。
呼吸を読みながら覚える事でコツが掴みやすくなってきたのだ。
この所教えて貰う技が増えてきた。
それに伴いだんだんと戦い方に幅が出るようになってきた。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~60-70話 作家名:酔仙