神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話
一方アマゾンのど真ん中、
シャマル達もクリスマスを迎えていた。
まあ、乏しい食糧と乏しい調味料にあって、ささやかながらクリスマスパーティーを開く事が出来た。
生鮮食料としての肉など当然あるはずもなく現地調達を余儀なくされている。
本当は七面鳥を食べたい所だがそんな物居るはずもない。
ここまでシャマル達の食事は、現地調達したタロイモと魚がメインだったのだ。
でも今夜は肉料理だった。
実は与那覇先生がワニを仕留めてきたのだ。
時々大きなワニが船の横を泳いでいく事があった。
しかもこのワニはジャングルの人々にとっても貴重なタンパク源だった。
流石にワニもいきなり頭をぶち抜かれるとは思っても見なかっただろう?
ふらふらっと近付いてきたカヌーからいきなり一撃されたのだ。
そして今食卓にステーキと化して並んでいる。
他には巨大ナマズの塩煮、青いパパイヤのサラダ、デザートにパイナップルといつもより豪華な食事だった。
スーはお肉が大好きだ。でもいつも食べられる訳ではない。
今まで村の男達が狩りに成功した時だけのご馳走だった。
しかもスーの分け前はほんの僅かだった。
だからここまで大きなお肉は食べた事がなかったのだ。
しかも酷い時は3ヶ月以上お肉の食べられない時もあった。
スーにとってこの船は天国だった。
確かに村からは追い出されてしまった。でも新しい父親が居る。優しいシャマル先生がいる。
知りたい事、新しい事をどんどん教えて貰える。今彼女は幸せで一杯なのだ。
「ワニって以外に美味しいのね?」
シャマルの素直な感想だった。
そして、ささやかなパーティーの後シャマルからスーにプレゼントがあった。
あの子供用の白いワンピだった。スーは目をくりくりさせて大喜びだ。
今までパンツ一枚の生活だった彼女、まともな服を着たのはこれが初めてだったのだ。
「ちょっと大きめだけど、すぐに体が追い付くでしょう?」
彼女は、クリスマスは1年で一番楽しい時だと理解した。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話 作家名:酔仙