神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話
翌日、コンゴ政府に了解を取って、
昨日の乱闘で怪我をした人を市内の病院で治療する事になった。
キャンプからトラックで運ばれてくる怪我人達、昨日あれからまた5人が亡くなっていた。
命の危機がある怪我人はすぐに手術となった。
流石にシャマル、もの凄い腕だった。
既に安田潤司のタイムマジックを再現して見せた。
丁寧で早い手術、見る見る患者の怪我を治していく。
今回、いつもの手術と違うのはスーを見学させた事だった。
本来なら子供に見せるべき物ではないのだが、敢えて少し離れた所からスーに見学させていた。
それはシャマル先生と父親である与那覇先生がスタッフ全員が一丸となって患者の命を救うという仕事、どれだけ大変な事なのか?命を救う事の重さと大切さを彼女に知って貰う為、それを心に刻んで欲しいという思いからだった。
23人運ばれた内手術の必要な重傷者は7人それを次々と手術していく。
夕方までに全員手術し終えていた。
そこで呼ばれたのはスーだった。
「ここなら人目はないわ、この人達を治してあげて」
軽傷者を順番に治療する、いや、スーが治療魔法を掛けていく。
青あざが消え、血が滲んでいた傷が綺麗に無くなっていく、患者からすれば信じられない事だった。
いや見ていたマルク先生やシャロン先生ですら言葉を失った。
それはまさに神の奇跡それが今のスーの力だった。
でも、6人治した所でスーの魔力切れだった。
ぐったりとして椅子から立ち上がる事さえ出来なかった。
「ご苦労様、そこで少し見てなさい」
シャマルが残り全員を纏めて治して見せた。
本当に一瞬暖かい風が吹き抜けたかと思った瞬間残り10人は完治していた。
スーは見ている物が信じられなかった。
自分とは比べ物にならない強い力、何処までも優しく、何処までも力強く、そして何処までも深い愛情を感じる力、スーはこれが自分の目指す者だと、いつか必ずシャマル先生を超えてみせるとそう硬く心に誓った。
シャマルも流石に限界だった。
7人も手術した直後にこれである、
スーと二人椅子に座ったまま燃え尽きていた。
まさにあしたのジョーの如く椅子に座ったまま真っ白に燃え尽きていた。
「ご苦労様」
与那覇先生が飲み物を持ってきてくれた。
翌日、入院をしている7人以外はキャンプに戻された物のそこから女神伝説が新たに神の子の伝説がキャンプにブラザヴィルの町に広がっていった。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話 作家名:酔仙