神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話
第101話 仲間
あれから二日、事態は沈静化した物のシャマルに縋り付いてくる人々は逆に増えた。
一番堪えたのは一人の母親だった。
自分よりも子供の命を救って欲しいと縋り付いてきた。
骨と皮だけになった彼女の腕の中でその赤ん坊はもう息をしていなかった。
その事実を受け止められずにただシャマルに助けを求める様はこの地獄を象徴する光景だった。
ここには救いなんて存在しなかった。
あるのはただ無限の地獄が広がるばかり、流石にもうシャマルも限界だった。
その場を逃げる様に立ち去るしかなかった。
あまりに辛いその立場故に誰も見ていない所で涙を流すしか出来なかった。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話 作家名:酔仙