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神手物語(ゴッドハンドストーリー)名医の条件102話~EP

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第104話 覚醒


 内戦による貧困と干ばつによる飢えが多くの難民を生み、
そしてその難民キャンプの物資でさえ夜盗に奪われていく始末、
 どんなに支援をしても追い付かない鼬ごっこだった。
 そんな中で襲撃を止めたのは与那覇先生だった。
でもそれは一時凌ぎでしかない、仲間を殺されたゲリラ達が今度は難民を虐殺しては逃げるという事を繰り返し始めた。
 一応、付近はエチオピア軍の兵士が警護している物の、その数は大したことはない。
数百mごとに一人ずつ立っているだけ、自動小銃の一丁では何の役にも立たなかった。
 難民だけでなく兵士達もゲリラに殺される事があるほどだ。
 マルク先生を中心に軍の司令官も含めて対策を話し合うが、対処策は見つからない。
「いっそのこと、ソマリアにいるアメリカ軍に協力を求めては?」
「そんな事をしたらここまで戦火が及ぶだろう?」
 何処まで行っても話し合いは平行線のままだった。
 そんな時だった、スーがいかにも子供らしい、子供だからこそ何の邪念も無いしかし核心を突いた質問をしてきた。
「ねえ、何故あの人達はみんなを殺しちゃうの?
何故人間同士で殺し合わなければ行けないの?
食べ物が欲しければ分けて下さいって言えばいいのに?何故?」
 大人達は下を向くしかなかった。
素直に助けて下さい食糧を分けて下さいと言えば支援の輪の中に入ってこられたはずだ。
 でも彼らの頭の中には殺してでも奪うという事しかない。
だからこちらも殺されたくないから武器を手に取り戦うしかないのだ。
 それがやがて戦争という最悪の地獄に堕ちていく。
「スー、悲しいけれど、それが人間なんだ。
誰かの持っている物が欲しくなって、ちょっと力があればそれを奪ってしまう。
そう言う人が居るから争いが起きるんだ。
そう言う欲の皮の突っ張った奴が原因で戦争になってしまうんだ。
戦争の原因なんて物はたった一人のそう言う人間から始まって、そう言う奴に味方する人間が集まるからこそ争いが大きくなるんだ。
でも人間はそう言う奴が恐いから、そう言う奴に逆らえないから、味方をするかそこから逃げ出すしかできないんだ。
それは人間が弱いから自分の欲にも勝てないし、恐い物には立ち向かう事さえ出来ないんだ。それが人間の弱さなんだよ」
 スーを優しく抱き締めながら与那覇先生は優しくそう話して聞かせた。
 戦争の原因、それは私利私欲に負けた奴が権力を握る事、そう言う奴の元に更に人間が集まりやがては多くの人々を巻き込んで大きな争いを起こしてしまう。
 そう言う元を断たない限りいつまで経っても戦争は無くならない。
いや、戦争のない世界でさえそう言う人間が居るから犯罪が後を絶たないのだ。
 結局この日も話し合いは付かなかった。
でも、何とかしないと状況は悪化するばかりだった。
「誰かが鬼にならなければ絶対的力という恐怖で縛らなければこの地獄は収まらないだろう?」
 与那覇先生はそう言った。
「争う事より愛し合う事をもっと教えるべきだわ」
 とシャマルは言った。
愛こそがこの地獄を救うのだと、そう説いた。