神手物語(ゴッドハンドストーリー)名医の条件102話~EP
第105話 奥義・水鏡
7月もそろそろ終わろうかという日曜日、
なのは達は久しぶりに全員で稽古だった。
今日は杖術の日、でも今回は昼間から道場ではなく山での稽古だった。
「道場の中じゃあ狭くて教えられない技があるからな」
士郎が笑ってそう言った。
「今日は奥義を六つ教える」
奥義の伝授だった。
「奥義、雷(いかづち)」
棒高跳びの要領で高く飛び上がった士郎、
相手に見立てた丸太に踵落とし2連発、勢いそのままに杖を振り下ろした。
丸太が真っ二つになる。
確かに道場の中では狭くて出来ない技だ。
「奥義、夢幻」
今度はなのは達に攻撃をさせる。
しかしその攻撃はあっさりと弾かれていた。
杖をバトンの様に高速回転させて触れる物全てを弾き飛ばす防御技だった。
「奥義、闇突き」
体の後ろに杖を隠しその状態から突きや打撃を撃ち出してくる。
寸止めされてもその恐ろしさだけは良く分かった。
全く技が来るタイミングが分からないのだから。
「奥義、導母」
杖を踏みつけて弓のようにしならせその反動を用いて高く跳び上がり、
頭上から勢いそのままに突き下ろす、目の前の木に穴を穿っていた。
この技にはバリエーションがあった。
上に飛ばず前に飛び、勢いそのままに高速の突きを入れるという突撃技だった。
「奥義、閃光」
空中で杖を足に引っかけてしならせ、
しならせた杖を解放すると同時に打ち下ろす超高速の打撃だった。
しなりの解放される勢いを打撃に乗せる為速度もさることながら、
とてつもなく威力のある打撃だった。
「奥義、地獄花」
杖を小さく円を描く様に振りながらしならせ、
その状態から、しなりと振りを利用して千変万化の打撃を繰り出す技だった。
目の前でやられると前方のあらゆる角度から打撃が来る様に見える乱撃術だった。
「今の奥義って花菱?」
「その通りだ、これを腕のしなりと小太刀でやるのが花菱だ」
なのは達は教えられた六つの奥義を練習する。
比較的簡単だったのは夢幻、それぞれのデバイスでも出来る上に、
絶対的な防御技として全員その日の内に身に付けられた。
その日の内に他の奥義を身に付けたのは、シグナムだった。
雷(いかずち)を覚えていた。
これは紫電一閃の新しいバリエーションになったらしい。
翌日にはヴィータが導母を身に付け更に導母と閃光を合わせた様な技を開発していた。
グラーフアイゼンのスパイクを地面に突き刺してしならせ、その反動で飛び込みなら超高速の一撃を加える物だった。
どうやらヴィータは素手の格闘技は向いていない様だが道具を持つと別人の様に強くなれる様だ。
こうして、新たな奥義を身に付けるべくまた厳しい修行が始まった。
こうして修行に明け暮れるなのは達こうやって夏休みが過ぎていく。
少しずつ奥義を身に付け少しずつ強くなっていく。
それから一週間、全ての奥義を身に付けたのはなのは、はやて、フェイトだった。
どうしてもデバイスの特性上身に付ける事の出来ない奥義もあり、シグナムとヴィータはそれが少しだけ悔しい様だ。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)名医の条件102話~EP 作家名:酔仙