新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第60話
澪 「ああ、これか・・・・私もついこの前までは、あんな恥ずかしい想いをした時の衣装だったから封印しておくつもりでいたんだ。」
当時のハプニング映像のDVDを思い出す梓。思わず顔を赤くする。
梓 「あ・・・・あのハプニングですか・・・!」
唯はギー太を抱えながら、座っている椅子をクルクル回しながら言った。
唯 「あの時のライヴはすっかり伝説になちゃったよね〜。澪ちゃんパンツ丸見えでんせつぅ!」
澪 「伝説言うな・・・・けど、勇士朗が初めて私に一目惚れしてくれた時・・・・私はこの衣装を着ていたんだ・・・そういった意味では特別な衣装なんだなって思ってね。それで今日着ようと思ったんだ。」
澪は、少しばかり顔を赤くして抱えたエリザベスを抱きしめる。
梓 「わぁ・・・!なんだかスゴイロマンチックです!本当にぴゅあぴゅあはーとですね!」
唯 「ぴゅあぴゅあ〜!ぴゅあ!ぴゅあ!ぴゅあ〜!いい〜ね〜恋愛だね〜!」
梓は乙女チックな話に心をときめかせ、唯は両手を挙げてはしゃぐ。
それを聞いていた紬もそそくさとキーボードをスタンバイし、瞳をキラキラさせてテンションを上げって会話に参加する。紬はこういった話には目が無い。
紬 「素敵な話!そういう話、私大好き!!もっと聞かせてぇ!」
澪 「ムギ?!もっと聞かせてっていわれてもな・・・まだ付き合い始めて三週間だし・・・。」
紬 「それでも色んなコトあるでしょう?手を繋いだとか!デートとか!キスとか!それにアドバイスとかしてあげられるかも!」
梓 「・・・・。」
唯 「澪ちゃん!ギー太も聞きたがってるよ!」
澪 「ううっ・・・!」
満面の笑顔で詰め寄る紬。梓も口には出さないが話し聞きたいオーラを出し、唯がギー太を強調してせかす。そんなとこへ律がスティックを肩にポンポンと当てながらやってくる。
律 「おーい。恋話もいいけどさー、次出番なんだからスタンバイしとけよー。」
梓 「あ、はい!!」
澪 「律!もうそんな時間か?!」
唯 「よーし!前から暖めてた新曲歌うゾー!!」
律 「今日のライヴが私らのまた新たなスタートだー!!さぁ、みんな!!気合入れてくぜ!!」
一同 「おー!!」
まさにそのタイミングで前のバンドグループの演奏が終わった。アナウンスによる挨拶と紹介が聞
こえてくる。
司会者 『えー、グランデイズの皆さんでしたー・・・えー続いて、桜ヶ丘高校軽音部、放課後ティータイムのみなさんです!』
律 「ちょーど終わったみたいだな!よし!いくぞ!」
会場には勇士朗たちは勿論のこと、勇と和。はたまた丈と菫の姿もあった。その中で彼女達がステージの上に上り、スタンバイを始める。
勇士朗は衣装の事は聞かされていなかった。今、ステージの上にはあの日一目惚れした澪がいたのだ。改めて一目惚れしたときのことを思い出す。
勇士朗 (澪・・・・!!)
この衣装のエピソードのことは、活動記録を保管している生徒会の和も把握していた。思わず首をかしげて疑問符を口に出してしまう。
和 「あれ??澪、あの衣装はもう、絶対に着ないって言っていたのに・・・??」
勇 「え?どういうことなんだ?」
和 「え??あ、ああ・・・・澪の着てる衣装、色々あって着たくないって言ってたんだけど、どうしたのかな〜って・・・。」
勇 「それは決まってる!!今日、勇士朗がここに来てるからじゃないか?彼氏の為に可愛い衣装選んだんだろ?」
和 「そういうものなのかな・・・?」
憶測の会話をする中、知らず知らずの内に和は勇に対してタメ口調を使うようになっていた。埼玉でのデート以降、二人の仲も少しずつ縮まってきている証拠でもあった。
唯と澪が律達とアイコンタクトを取り合って、ざわめく場内に「ふわふわ時間」のイントロ演奏が鳴り響かせた。MC無しでそのまま演奏が始まる。
♪ 「ふわふわ時間」 VO.澪&唯
・
・
・
♪ 「ふでペン〜ボールペン〜」 VO.澪&唯
・
・
・
まずは彼女達の代名詞の二曲が演奏された。そして2曲歌い終えると、唯は軽くMCしながら新曲をここで発表する。
唯 「こんにちはー!!桜高軽音部の放課後ティータイムでーす!!えっと、今回も街でチャリティーライヴをやることになったので、参加しました!!それでは、ここから新曲です!一気に3曲・・・・あ、4曲行っちゃいまーす!!」
歓声 「わぁあああああああ!!」
♪ 「Sweet Bitter Beauty Song」 VO.澪
・
・
・
♪ 「don`t say “lazy”」 VO.澪
・
・
・
♪ 「Cagayake!GIRLS」 VO.唯
・
・
・
♪ 「GO!GO!MANIAC」 VO.唯
・
・
・
一挙に暖めてきた新曲が演奏された。勇士朗と光の二人は彼女の歌声にテンションを上げ、会場も盛り上がりを見せる。その中の会場の片隅で、丈が腕を組みながら紬を見守っていた。
旋風寺の社長ゆえに舞人の不在が多い為、元々琴吹家のSPだった彼が日常の護衛任務として良い意味での監視役を任されたのだ。その丈の傍らには菫の姿もあった。
彼に恋心を抱くゆえに付き添っていた。無論、丈に恋愛感情は無い。だが、何故か心を許してしまう数少ない人間だった。
菫 「お嬢様、とっても生き生きしてますね!」
丈 「ああ。ついこの前はあんな目にあったって言うのにな。立ち直りが早すぎるぜ、紬嬢。」
菫 「それ程、お嬢様にとって軽音部の場所は特別なんですよ。なんだかうらやましい・・・。」
楽しそうに生き生きとキーボードを弾く紬に憧れる菫。だが、丈はそんな菫にアドバイスする。
作品名:新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第60話 作家名:Kブレイヴ