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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第60話

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  丈 「お前もやってみたらどうだ?音楽。確か少しばかりはドラムかじってたろ?」

  菫 「はい・・・でも・・・ちゃんとできるかどうか・・・。」

  丈 「出来る出来ないじゃぁない。やりたければやってみればいい・・・。来年、桜高受験したらどうだ?今年受験生だろ?」

  桜高への受験を勧める丈。菫も想いを寄せる丈のアドバイスに心が躍る。

  菫 「丈さん・・・!!はい!!頑張ってみます!!」




  その日の夜。澪を送っていた勇士朗はデストリアンが飛来した時のようなあの感覚を覚える。だがその感覚は持続せず、すぐに消えた。

  勇士朗 「・・・・??!なんだ??今の感覚??」

  澪 「どうしたの?」

  勇士朗 「ん?うん・・・・デストリアンの感覚かと思ったら、途中でその感覚が消えた・・・そんな事今までなかったというのに・・・。」

  澪 「またアレが??!・・・・で、でもこの前のコトで全滅できたんだよね?!それに今は何ともないんだよね??」

  勇士朗 「まぁね・・・・でも、ドライアスを叩けた訳じゃない。奴らがまた何かを送り込んできたのかもしれない・・・!!!」

  澪 「何かって・・・そんな・・・せっかく平和になったのに・・・。」

  またあの悪夢が降りかかると思うと、途端にやるせなくなってしまう澪。立ち止まってしまったそんな澪の肩を勇士朗がそっと持つ。

  澪 「あ・・・。」

  澪の頬が赤く灯る。勇士朗も少し思い切っての行動をしていた為にドキドキしていた。

  勇士朗 「ドライアス達を叩かなければ本当の意味での平和は来ない。でも・・・今の俺にはグレートファイバードの力がある。もし仮に新たな災害が起きたら全力でみんなを守るよ。」

  三週間たった今でもこのようにされると澪は固まったようにドキドキしてしまう。だが以前のよう
な純愛に不安が混じったようなドキドキではなく、心底から純愛による全身のドキドキだった。

  澪 「・・・またその時はみんなを守ってね!勇士朗!」

  勇士朗 「ああ!もちろんだ!今日はお疲れ!澪!」

  澪 「うん!ありがとう!」

  再び歩き出す澪と勇士朗。何気ない会話を重ねて帰路を行く。

  澪 「ところで今日の私の衣装どうだった?解った?」

  勇士朗 「ああ、解った解った!!俺が始めて澪を見たときに着ていた衣装でしょ?」

  澪 「っそ〜!あたり〜・・・でもあの衣装ついこの前まで・・・―――。」




  数日後の桜ヶ丘。桜工ではマラソン大会があり、野郎共がゾロゾロと道を走る。蓮がかったるそうに走る中、勇士朗と光、俊はガチンコに燃え上がっていた。

  蓮 「てきとーに走って済ますか。しかしアイツラ・・・・何ガチンコになってやがんだよ〜。」

  勇士朗と光、俊は、持久走が得意であった。更にいえばレース系のものが好きであり、苦では決してないのだ。

  勇士朗 「っし・・・・・この区間はこのくらいのペースで・・・。」

  光 「おっしゃああ・・・勇士朗に食いついていけている!!!プロテインと専用ソウルのおかげで例年よりいい順位にいけそうだぁああああ!!」

  俊 「後追いでとりあえず二人を眺めてるか・・・・ラストで追い抜く!」

  帰宅部な彼らだが、陸上部の生徒と肩を並べるくらいに速い。マイペースを維持しながらも次々と前走者を抜いていく。

  クラスの男子 「勇士朗の奴はえー・・・・帰宅部なのに・・・ところで・・・あいつらがしてるブレスレットはなんだ?」

  クラスの男子が、光、蓮、俊が身に着けているダグコマンダーに注目しながら走る。だが、現状のかったるさを考えるとどうでもよくなる。

  クラスの男子 「あ〜しんど〜・・・早くマラソン大会終わってくんねーかー?!」




  桜工の野郎共が走っている頃、桜高の女子達もマラソン大会で走っていた。しかし、この時ちょっとしたトラブルが起こっていた。マラソンの最中、唯がコースを外れてしまい行方不明となっていたのだ。

  もしものことが過ぎり、澪達も必死で唯を探す。既に市内のちょっとした山の中にいた。  

  澪 「唯ぃぃぃぃ!!」

  律 「唯、いるのかぁあああ?!」

  紬 「唯ちゃあああん!!マラソンが終わったらおしるこが待ってるわよ〜!」

  それぞれが叫んで回る。だが、どこからも唯の声や気配が無い。一点に集合する3人。

  律 「いたか?!」  

  澪 「だめだ!どこにもいない・・・!!」

  紬 「どこか別の所を探しましょう!きっと見つかるはず!!」

  ゴール地点の桜高運動場。和も梓達からこの事の報告を受けた。

  和 「唯が途中で行方が分らなくなった??!」

  梓 「はい・・・途中までは走っていたみたいなんですけど。」

  純 「さっき、澪先輩達がその近くを探すって言って・・・今探している最中だと・・・。」

  憂 「お姉ちゃん・・・もしもの事だったらどうしよう・・・・。」

  不安がる憂。和はそんな憂を慰める。

  和 「憂。唯の事だからきっとどこかでサボってると思うの。まぁ、そうだったらそうだったで問題だけど・・・・とにかくきっと大丈夫だから心配しないで!」

  憂 「うん・・・。」

  だが、憂の心配事は的中していた。唯は謎の異世界の存在に囚われていたのだ。唯は完全に気を失っており、触手のようなものに囚われている。

  この異世界の存在こそクリーチャーという言葉が似合う。次元に穴を開け、密かにじっと澪達を監視する。新たなる脅威の存在であることは間違いなかった。

  肩を並べて走ってきた勇士朗と光がその近くへと差し掛かる。すると勇士朗が突如としてスピードを緩めて止まった。悲鳴らしき声を聞いたのだ。

  光 「勇士朗・・・・聞こえたか?!今の悲鳴!!」

  勇士朗 「ああ・・・あっちの山の中だ!!何か嫌な存在の予感がする!!」

  俊 「勝負は後だ!!いこうぜ!!」

  後方で走っていた蓮と涼が、茂みの方へ行く勇士朗達を見る。

  蓮 「あれ・・・??何やってんだ??」

  涼 「さあ・・・??」

  急いで駆けつける勇士朗と光、俊。だが、そこには何も無い。しかしながら勇士朗はこのとき、夕べ感じたマイナスエネルギー波を感じていた。

  勇士朗 「マイナスエネルギー??!一体何なんだ??!!」

  光 「ここに何かいるって言うのか??!」

  俊 「だが、異星人もデストリアンもいない・・・・なんだ??!」

  そのマイナスエネルギー波の感じる方へ向かう勇士朗。よく見てみると、パリパリとなっている次元の裂け目をかすかに視認で来た。後から蓮と涼も勇士朗たちを追ってその場所へときた。

  蓮 「な、なんじゃこりゃ??!」

  涼 「ふえっ??!一体これは??!」

  勇士朗 「蓮に涼!!これは多分・・・・・異次元の入り口だ!!」

  蓮 「異次元・・・・マジかよ?!!」

  異次元の存在・・・・新たなる脅威。だが、誰一人恐怖しない。むしろ闘争心が高ぶる。その時だった。