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必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第3話

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 数日後、あの駄菓子屋に行くと、ここを閉めるという話を聞いた。
市役所の建設課が、被害地区から廃棄都市区画に掛けての再開発事業を決定したのだという。
 JS事件後、被害を受けて寂れた地区の、治安の悪化には目を覆う物があった。
ただ、この駄菓子屋のある一角は、近くに教導隊の隊舎がある関係で、比較的治安が安定したのである。
ただ、今回再開発区域に入ってしまったことは、残念ではある。
「私らは、保証を受け取ったら、どこかの老人ホームに入るつもりだよ」
 おばあちゃんはそう言った。
「そっか、何だか寂しくなるな、ここのお菓子大好きだったのに……」
 非常に残念なヴィータだった。
 既に、廃棄都市区画部分では、ビルなどの解体が始まって居た。
教導隊の仕事のない日は、なのは達が駆り出されることもあった、強力な砲撃で廃棄ビルを破壊して、更地にしていく、
実に作業が早かった。
 残ったのは、まだ人が住んでいる地区だけになっていた。
所が、何時になっても補償交渉が纏まらない。
正確に言えば、一時金さえ払って貰えないで居た。
 当然、住民と市役所の間で衝突が起きる。
初めは、なのは達教導隊に住民排除の命令が来たが、なのはがこれを突っぱねた。
「悪いのは、お金を払わない市役所の方よ、私たち管理局は筋が通るまで協力はしません」
 しっかりと筋を通したなのはだった。
 だが、それが最悪の事態を呼んでしまった。
現れたのはヤクザ者たちだった。
 住民に次々と暴力をふるい、排除に掛かったのだ。
当然、住民側も激しく抵抗した。
しかし彼らは、銃や刃物を抜き、とうとう死者が出てしまった。

「あなた、しっかりして」
 おばあちゃんが、既に動かなくなったおじいちゃんを抱き起こそうとしていた。
ヴィータは間に合わなかった。
大好きなおじいちゃんを、救うことが出来なかった。
「畜生、あいつら全員殺してやる!」
グラーフアイゼンを手に、飛び出そうとするヴィータを止めたのは、はやてだった。
「ヴィータ、あんたは優しい子ぉや、だけどな、自分の怒りだけで殺しても何の解決にもならへん、
仕事になるまで待つんや、その怒りは、あの人達の怒りを、お金の重みを背負ってあいつらにぶつけたるんや」


 二日後の夜、ビリケンさんの前に、あのおばあちゃんがやってきた。
「このお金は、老後の為に私とあの人で貯めた物です、これであの人の敵をお願いします」
「判った、受けよう」
 ヴォイスチェンジャーを通した、嗄れた声がそう答える。
ビリケンさんにはカメラと、マイク、スピーカーが内蔵されているのだ。
 おばあちゃんは、ビリケンさんに一礼すると、来た道を帰らずに、まっすぐに海の方に向かって歩き始めた。
「不味い、止めるんやヴィータ」
 家からヴィータが飛び出していくが、間に合わなかった。
おばあちゃんは、岬の先端から身を投げていた。
助け上げた時には、もう、息がなかった。
「なんでだよ、どうして……」
「ヴィータ、その人はなぁ、優しかったんや、優しすぎて人が憎めんかったんや、
だから自分の命を引き替えにしたんや、その人の優しさに答えてやりぃ」
 涙を流しながら、頷くヴィータだった。