たとえばこんな間桐の話の蛇足の話(前)
「やっ、やだ!!わたし、かぞくだもんっ!!わたしも、おとうさんと、おにいちゃんと、おじさんのっ!!かぞくだもんっ!!」
だから、わたしもまもるのっ!!と。
私は泣きながら、そう叫んだ。
今考えるとちょっと恥ずかしいけれど、私は本気だった。
私をボロボロになりながら守ってくれた父と兄。そして、そんな私達を救ってくれた雁夜おじさん。
守られているだけなんて嫌だった。
痛いのは嫌だけど、それでも。
ただ見ているだけなのも、嫌だったのだ。
皆の中に、入りたかった。皆と一緒に、笑っていたかったから。
そんな私にまた父とおじさんは泣いた。号泣だった。
一番クールだったのは兄だったけれど、その兄も涙目になっていたのは見間違いじゃなかったと思う。
ともあれ。
その日、私達は家族になった。
作品名:たとえばこんな間桐の話の蛇足の話(前) 作家名:柳野 雫