機動戦士ガンダムRS 第5話 援軍の到着
グラハム艦長は、サオトメの言葉を真に受け命令した。
グラハム艦長の命令で艦首は、下を向いた。
ドコス・ギアとアレキサンドリアも同じように艦首を下げた。
※
シグマン大尉は、サオトメの甘さにあきれていた。
「戦闘データを取るのは、良いですけどちゃんと撃墜してください。
こっちで頭を抑えます」
シグマン大尉は、換装型ガンダムにビーム・マシンガンで攻撃を始めた。
そこにサウス中尉の小隊も来た。
※
まさか敵が作戦を見抜いているとは、つい知らずフラガ大尉とクルーゼ中佐はそれぞれ敵艦に向かっていった。
※
ロンバルディアでは、フラガ大尉の動きが察知されていた。
「本艦正面から接近する熱源あり。
モビルアーマーです」
レディー軍曹がモビルアーマーの存在を報告した。
「迎撃」
グラハム艦長の命令でロンバルディアから単装メガ粒子主砲、単装メガ粒子副砲と多数のミサイルランチャーを発射した。
直掩隊のユーピテルもビーム・マシンガンとユーピテル・バズーカで迎撃した。
※
フラガ大尉は、その周到な迎撃体制に驚いた。
「まさかこれも読まれていたのか?」
フラガ大尉は、たまらず撤退した。
クルーゼ中佐も同じだった。
※
2人は、すぐさまアークエンジェルに報告した。
「フラガ大尉とクルーゼ中佐より入電。
作戦失敗。
撤退する」
ジャッキー伍長がフラガ大尉とクルーゼ中佐からの通信を読み上げた。
「何だと?」
さすがに皆の動揺は、計り知れなかった。
「強行突破のため前方ロンバルディア級を撃ちます。
CIC」
ラミアス艦長は、誰よりも冷静に次の命令を出した。
「ローエングリン、1番2番斉射用意」
バジルール副艦長が次に命令を出した。
「フラガ大尉に空域離脱を打電。
『G』にも射線上から離れるように言って」
ラミアス艦長が命令を出した。
「陽電子バンクチェンバー臨界。
マズルチョーク電位安定しました。
発射口、開放」
ダリダ伍長がローエングリンの状況を報告した。
※
キラは、それまでガンダムサイガーだけが襲っていたので皆で攻撃すればよかったのだが敵の援軍が現れたせいでそれぞれが敵と戦わなくてはならなくなったために援護なしで今ガンダムサイガーと戦っていた。
素人がエースパイロットと戦えばたとえ弄ばれているとしても体力と精神に大きな負荷が掛かる。
キラもその状態に陥っていた。
そのときアークエンジェルから通信が入った。
※
アークエンジェルのカタパルトの下からローエングリンの発射口が現れた。
※
ガンダムサイガーに先の奇襲に対しての迎撃成功が伝えられた。
「さて今度は、戦艦から護るか」
サオトメは、ガンダムサイガーをアーガマもどきの前に移動させた。
※
それは、アークエンジェルでも確認できた。
「ガンダムサイガー、本艦の射線上に移動しました」
ダリダ伍長がガンダムサイガーの動きを報告した。
「構わん。
発射」
バジルール副艦長は、それに構わず発射命令を出した。
バジルール副艦長の命令でローエングリンが発射された。
※
サオトメは、メガビームシールドに搭載してあるバリアビットを展開して大型ビームシールドを展開した。
このビームシールドは、高出力で戦艦の主砲を上回るビーム砲すら防ぎきる防御力を誇る。
そのためこのメガビームシールドでアーガマもどきの主砲を防げると自信があった。
すると案の定大型ビームシールドは、アーガマもどきの主砲を防ぎきった。
※
その光景は、アークエンジェルのブリッジの皆も見ていた。
「そんな」
ラミアス艦長は、思わず立ち上がった。
※
その光景は、ガンダムパイロットも見ていた。
「ローエングリンが」
「そんな」
ディアッカ中尉とニコル中尉は、あまりの衝撃映像にそれ以外何も言えなかった。
※
アークエンジェルのブリッジには、作戦失敗と敗北の空気が漂っていた。
「アークエンジェル、最大戦速。
このままアルテミスに向かいます。
クルーゼ中佐、フラガ大尉と『G』のパイロットに帰艦命令を出して」
こうなったら強行突破してアルテミスに向かおうとラミアス艦長は、考えた。
「強行突破など無理です。
ロンバルディア級1隻なら何とかなるかもしれませんが後方には、ドゴス・ギア級とアレキサンドリア級がいるんですよ。
それに敵のマン・マシーン隊は、健在です」
それを冷静にバジルール副艦長が制止した。
※
後方の戦場では、しばらく時間が止まったかのように誰も動かなかった。
しかしその沈黙を破ったのは、サオトメだった。
サオトメがメガビームライフルで白兵戦型ガンダムの右腕を攻撃した。
※
イザーク中尉は、一瞬何が起きたのか分からなかった。
ただ一瞬警告音が鳴ったと思ったらコックピットをすさまじい衝撃を襲った。
機体の状態を見ると右腕が破損した表示が現れていた。
「クソ」
そういうとイザーク中尉は、パネルを叩いた。
過失が自分にあったとは、いえプライドを傷つけられたことにひどく怒りを感じていた。
※
それは、アークエンジェルでも確認できた。
「デュエル、帰艦します。
損傷あり」
ミリアリアがラミアス艦長に報告した。
「整備班、緊急着艦用ネットを」
ラミアス艦長は、整備員に命令を出した。
※
キラは、ガンダムサイガーのビームライフルの攻撃を回避するのでいっぱいいっぱいだった。
キラも反撃を行うが簡単に敵は、回避してしまう。
「クソ」
めまぐるしく機体を回転させながらガンダムサイガーの攻撃を回避する。
※
アスラン中尉は、ユーピテルと戦闘を続けながらキラを心配していた。
※
それは、アークエンジェルでも確認できた。
「キラ」
ミリアリアが不安そうに呼んだ。
「囲まれています」
ジャッキー伍長がバジルール副艦長に報告した。
「援護して」
ラミアス艦長が思わず命令を出した。
「こちらだって敵に囲まれているんです。
むしろ直掩にきてもらいたいくらいです」
バジルール副艦長が無理だと報告した。
「ストライクが距離を離していきます」
ダリダ伍長がストライクガンダムとの距離を報告した。
「イージスから通信。
ストライクは、57mm高エネルギービームライフルを過剰に使用しているためパワー残量が心配とのことです」
カズイがアスラン中尉からの通信を読み上げた。
「艦長」
「分かっているわ。
フラガ大尉とクルーゼ中佐にストライクの援護を伝えて」
ラミアス艦長がロメロ伍長に命令した。
※
デブリの中を通って帰艦中のフラガ大尉とクルーゼ中佐にその通信は、入った。
「戻れない?
あのバカ」
フラガ大尉は、キラが深追いした結果戻れなくなったと考えていた。
※
キラは、ガンダムサイガーの威嚇攻撃による恐怖でパニック寸前になり絶叫していた。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第5話 援軍の到着 作家名:久世秀一