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機動星戦記ガンダムB 第一話「開始」

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 人型で、白い姿をしている。スカート部分が長く、足が膝まで隠れていた。顔についたモノアイが各々違う方向を向いている。肩に引き金部分、左手に主砲がある。
 デッドロ・ドック、と呼ばれる最新のMSだった。愛称はドクロ。その姿が、骸骨のように見えることが起因している。
 その中のひとつ、肩にビームライフルを構えたドクロがハッチを開いた。

「はあ・・・」

 パイロットスーツの青年が、ドクロの中から顔を覗かせる。顔は、ヘルメットに隠れて見えない。
 名前はセシル・ボーダー。仕官学校を卒業したばかりの新米である。ドラジルの艦艇、ブルターグに配属され、それが不満なことをいつも仲間内で愚痴っている。
 それは、ブルターグが後方支援のための艦艇であるからだった。
 セシルはヘルメットの無線を使って、他二機のMSに乗っている仲間へ通信をかける。

「外に出たが、何にも見えないな」
『センサーに引っかからないんだ。肉眼で見えるもんかよ』

 やけに軽そうな声が響いた。ゲン・ゴドーという、セシルの同期である。

『ニュータイプが相手なんだから、ハッチ開けてていいのかよ?』
「見つけなけりゃ動けないんだ」
『見つかったらどうする?』

 今度は、落ち着きはらったような声が聞こえた。こちらも同期で、エイム・レイル。よくゲンと喧嘩をする仲だった。

「んなもん、動くだけじゃないのか?」
『敵見つけたら動くってよ・・・。ゴミ見つけたら回収するロボットじゃねえんだから』
「下手に動いたら、一撃で倒されるだろうが」

 そう、今彼らはとあるターゲットを探していた。ニュータイプと呼ばれる、天才パイロットである。
 三機でも勝てるか、セシルは不安だった。しかし、それをプライドが押し殺した。自分ならば、このメンツならば勝てるだろう、と。
 現実は厳しいものになっていた。どこから来るかも分からない硬直状態で、セシルは痺れを切らしてハッチから出てしまったのだ。
 馬鹿なことをしている、とは思うが、動かなければ緊張に殺されると思ってしまったからだ。
 外に顔を出すと、さっきの緊張感が嘘のように消えた。

「いい加減、全天周囲モニターを備えてほしいよなあ。二百四十度なんて、いつの時代だよ」
『確かに、息が苦しくなるな』

 全天周囲モニターとは、コックピット内全体が機体の外を映し出すという、高性能なものだが、こちらは上下が映されないで、左右が見える程度のものだった。上や下を見る場合、MSの頭を動かさなければならず、それが余計な時間を使うことになってしまう。一瞬のうちに死んでしまう戦場で、その間は致命的であった。
 まだ戦争が始まったわけでもないのだが、今の状況が状況だけに愚痴をこぼさずにいられない。
 ゲンが、ふと外を見上げた時だった。



「無線なんて使ったら、場所バレするに決まってるでしょうに」

 バーニアを噴かして、MSが浮かび上がった。



『セシル! 上だ、あのビルの!』
「なに!?」

 三人が反応する間に、弾丸がいくつも飛んできた。
 足元ではじけて、赤色のペイントを撒き散らす。粘着性のペイント弾だ。
 雨のような弾が振ってきたところを見ると、ごてごてしたMSがビルの上に立っていた。
 パルプーバ、というドクロより前に製造された量産型MSだ。ザクに似ており、背中にバズーカ、腰にビームライフルと、大量に装備している。
 普段は片方だけを装備しているはずなのだが、今回は特別仕様であった。

「レオナ・ベリー少佐!」
「無線を垂れ流しなんかしてたら、仕方ないよねぇ」

 バーニアを噴かしたパルプーバがセシルたちの頭上を飛んでいく。
 ゲンとエイムが何度か撃ったが、ひとつも当たらず、そのままパルプーバは向かいのビル郡へと消えていった。
 先ほどの二人はドクロを半回転させ、パルプーバの後を追うために走り出した。バーニアの放射でセシルの体が吹き飛ばされそうになる。

「おい! なにしやがる!」
『さっさと動きやがれ、セシル』

 ゲンが無線ごしに言った。
 ビル郡の中に消えていこうとしている二機を目で追いながら、

「二手に分かれて、挟み撃ちをしろ! ニュータイプでも、左右からの同時攻撃に対処できないだろ!」
『言われなくても分かってんだよ!』
『わざわざ言うことでもない』
「て、てめえら・・・!」

 コックピットの壁を殴って、ハッチを閉める。無線を切って、モニターを起動した。
 息が詰まるような空間で、セシルはため息をつく。

「やっぱり、全天周囲モニターが必要だな」

 ドクロを動かして、二人の後を追った。
 走っている最中に、五発、銃声が聞こえた。聞こえたというより、足元が振動で揺れて、それが伝わってきたというのが正しい。
 銃声のした方を目指していると、小さな洞窟のような場所を見つけた。
 中には、なぜか動かないドクロが一機、そして、

「パルプーバ!」

 奥に姿が見え、出力を上げて迫った。

「何してやがる! 早く撃て!!」

 無線を切っていることも忘れて、セシルが叫んだ。
 左腕の主砲を肩の引き金にドッキングし、取り外す。そして、ドクロの向こうに見えるパルプーバを視界に捉えた。
 引き金を押し込もうとするが、ドクロが動いた。手のひらをこちらに向ける。だが、まだ止まるつもりはない。次に、そのまま振り向いたドクロのコックピット部分が赤く染まっているのを見て、セシルは急ブレーキをかけた。

「まずい!!」

 十字路に差し掛かった時、横目にあのザクのようなモノアイがうつって、一瞬でそこが赤く染まった。
 機体が大きく揺れて、ブレーキをかける腕が離れた。勢いを殺せないまま、ドクロへと突っ込む。体勢を崩したまま激突し、少しドクロを押して、停止した。
 ただでさえ狭い視界が、赤いペイントで更に狭まった。

『罠だって思わないの?』

 パルプーバから、女の声が聞こえた。レオナ・ベリー少佐の声だった。明らかに馬鹿にした口調で、セシルに接触してくる。
 そのMSの手が、ドクロの肩に触れた。『お肌の触れ合い通信』というもので、宇宙空間では声が響かない。かわりに、MSの機体を伝わらせて声を届けるのだ。これなら、無線を傍受される心配がない。

「無線での場所特定に、ダミーバルーンまで使って。卑怯ですよ」

 そう言って、セシルはドクロの向こうに見えるパルプーバらしき影を見た。それはシルエットこそパルプーバだったが、どこか装飾の雑な代物で、まじまじと見さえすれば見間違えないレベルであった。
 セシルの抗議に、レオナは鼻で笑い飛ばした。

『卑怯なら、卑怯なりの戦い方があるらしいぞ?』

 なんのことだ、と声を出す前に、天井が崩れた。
 噴煙の中からフラッシュが焚かれ、ペイント弾が飛んでくる。

「そうか! まだ一人いたな!」

 喜びにセシルが叫んだと同時に、今度はモニター全部が真っ赤に染まった。
 機体が激しく振動している。MSを動かしメインカメラを守るが、その間をくぐってペイントがモニターを覆いつくしていく。

「ど、どうなってるんだよ!!」
 
 叫ぶと同時に、

『安全装置は作動するな?』