必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第12話
「主、危険です、護衛も付けずに彼らの所に乗り込むなんて」
焦るシグナムに、はやては落ち着いていた。
「護衛ならおるよ、よく見てみぃ」
彼女の陰から一人の老人が出てきた。
「えっ、今どこから出てきた?気配すら感じなかった」
「この人は塩谷さんゆうてな、レティ提督の5人の護衛の一人や、
高町士郎はんが素手同士だったら負けるかも知れへんゆうてた人や」
「なっ!?」
高町士郎、久しく忘れていた名前だった。
10年前、彼女は「軽い模擬戦」で士郎氏に完膚無きまでにフルボッコにされたのである。
しかも指一本触れる事も出来ずにである。
その士郎氏に勝てるかも知れない使い手とはとんでもない化け物だ。
シグナムの血がうずく。
「ちょっと試してみるか?本部ビルの中はAMF空間やデバイスや武器の持ち込みも魔法を使う事も出来へん。
その中で使える護衛ゆうたら素手による格闘技だけやろ?」
シグナムと塩谷氏が向かい合う、先に動いたのはシグナムだった。
まっすぐ突進すると見せかけて横ら殴りかかった。
しかしその拳が当たるかと思った瞬間、投げられていたのはシグナムだった。
何がどうなっているのか全く分からない、とにかく殴れば投げられ、掴みかかれば抑え付けられていた。
まるで幻術を見せられている様だ、恐らくレバンティンを抜いたとしても勝てないだろうと彼女の本能がそう訴えていた。。
塩谷九段、60才、大東流合気柔術師範、とてつもない化け物だった。
1時間後本部ビル内、オルネライア執務官室
「あいつらが吐いたで、あんたから指示を受けたゆうてな、今逮捕状を請求するさかい明日には逮捕や覚悟しときぃ。
それからあんたの名前、遺族の方達にもリークしといた、もしかしたら仕事人に殺されるかも知れへんなぁ」
「一体何がお望みなのですか、八神捜査官」
「別に何も望んでなんか無いよ、ただあんたは終わったと言いに来ただけや、
拘置所に入るのが早いか殺されるのが早いか二つに一つや」
「そうですか?それは残念だ、でも俺もただでは捕まらんよ、それに君も軽率だ一人で俺の部屋に来るって言うのはね」
瞬間ドアを開けて5人が入ってくる。
「まあ、捕まるまでゆっくり楽しませて貰おうか?」
「なるほど、その5人がグルだった言う訳やな?それに、私一人とちゃうで」
彼女の陰から一人の老人が姿を現す。
「こいつどこから出てきやがった?」
「あれ~?今まで気が付かなかったのかいな?この人の魔法にも気が付かんとは相当弱いんとちゃう?」
「馬鹿な、ここは完全なAMF空間だぞ、そんな馬鹿な事が出来る訳無いだろう?」
「それが出来るんよ、97番世界には魔力を使わない魔法が存在するよって、あんた達に勝ち目はないよ」
「こなくそ!」
一人が殴りかかった。
しかし、殴った本人は直後に壁にめり込んだ。
「次に痛い目に遭いたい人はいるかな?」
老人にそう言われた時、誰も勝てる気がしなかった。
「じゃあ帰らせて貰うわ、明日の夕方逮捕に来るよって、楽しみに待っとりぃ」
「不味いな、逮捕状は俺たちで遅らせるとしてお前はここを出るなよ、仕事人に狙われるぞ?」
オルネライア執務官はオフィスを出る事が出来なくなった。
「俺たちは、今夜中にあの女を殺してやる」
もう一人の執務官、サシカイアがそう言った。
作品名:必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第12話 作家名:酔仙