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こらぼでほすと 十一月1

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「ああ、ニールに、差し入れありがとうって伝えてね? ロックオン。」
「もちろんだ、アレルヤ。」
 じゃあ、解散とティエリアが声をかけると、バラバラとマイスターたちが散らばっていく。刹那の後をティエリアは、すぐに追い駆けた。ロックオンとアレルヤたちと離れてから声をかける。
「きみのチケットも、僕が用意しておく。ロックオンより四日ほど後になる。」
「わかった。」
「本当に、こんなギリギリの日程でいいのか? 刹那。二、三日なら・・・」
「構わない。すぐに、また顔を合わせられるんだ。」
 刹那の予定は、地上にたった二日の滞在だ。ロックオンは一週間近く居るのに、これでは不公平だろうとティエリアは思っていた。だが、当人は、少し顔を見られればいい、と言う。MSの調整も最終段階だし、それを完全な状態にするほうが優先するからだ。
「俺が降りている前に、キラとの日程調整をしてくれ。あちらでキラと直接、話したほうがスムーズに進められる。」
「了解だ。」
 ティエリアも即座に考えを変えた。刹那が、まず優先することがあるのなら、それで構わない。確かに、そちらのほうが重要ではある。
「治療が終わったら、俺も少しゆっくりさせてもらう。おまえも旅に出ればいい。」
 ティエリアだって、ニールの治療を優先していたから、休暇をとっていない。これが終わったら、気分的にも楽になる。だから、刹那も笑って、そう勧める。




 クラウス・グラードは、特区の空港に到着していた。本当に、十一月後半から十二月前半にかけて、すっぱりと予定は空けられていた。そして、現在、大統領候補として選挙の準備に忙しいはずの人間からも、笑顔で送り出されていた。ラクス・クラインからのお呼び出しが、直接、そちらに入ったからだ。天下の歌姫様と強力なコネクションがあるのは、選挙に有利になる。だから、ふたつ返事で、クラウスは借り出されたのだ。ラクス・クラインとのパイプを強固なものにしておいてくれ、と、依頼も受けた。もちろん、政治家として、それが重要なことだと理解しているが、その用件がホストクラブでのホストの真似事というのは、いかがなものだろう、と、真面目なクラウスは考える。
「クラウス・グラードさんですね? 」
 考え事をしていたら、空港の一角で声をかけられて、そちらに振り向いた。そこには、前回、顔を合わせたことがある人物が笑顔で会釈していた。
「お迎えに上がりました。『吉祥富貴』のダコスタと申します。」
「お手数をおかけいたします。」
「とんでもない。こちらこそ、オーナーの無理な頼みを聞いてくださって感謝いたします。どうぞ、案内いたします。」
 慣れた様子で、ダコスタが案内してくれるので、クラウスも後に続く。クルマに乗ってから、細かい説明はしてもらった。店の上得意客でオーナーの知り合いが、四日後に店を貸切で誕生日をお祝いする。その席に、クラウスも参加して欲しいとのことだ。
「それって、やはり、何かしら訓練とか必要ですか? 」
「訓練というか、余興にマジックをお願いしたいんで、それを練習してもらうくらいですね。お客様は、クラウスさんが素人なのは、ご存知ですから、難しいことはおっしゃらないと思います。」
「それで、これから店へ? 」
「いえ、とりあえず、お寺へ送ります。教育担当というか、あなたの世話係が、そちらにおりますので、まず、そちらへ。」
 ということで、クルマは、そのまま進んで行く。準備は、こちらでいたします、との連絡だったから、クラウスは、何も持っていない。宿泊はホテルだろうから、入り用なら適当に用意するつもりだった。


 古めかしい山門の前で降りると、そのままクルマは走り出した。寺のほうに誰か居るのだろうと、本堂のほうへ声をかけたが留守らしい。家のほうも人気がない。さて、どうしたもんか、と、思っていたら、外からライルの実兄が戻ってきて、家のほうへ案内された。すぐに、大荷物のハイネがやってきた。
「ママニャン、これ、クラウスとロックオンの着替え一式。ここに泊るからヨロシク。」
「急に言うなよ、ハイネ。」
「まあまあ、脇部屋のほうでいいさ。俺、ママニャンのとこで寝るからさ。」
 とりあえず、着替えは運んでおくぜ、と、ハイネはスタスタと大きな紙袋を二つ運んで消えた。
「ここに泊るんですか? 」
「そうみたいですね。もし、お嫌ならホテルの手配をしてくれると思いますよ? どうします? 」
「迷惑なんじゃ? 」
「いや、うちは、オールセルフサービスなんで、みんな、適当に泊っていくんですよ。だから、迷惑じゃありません。うちの亭主に挨拶だけしてください。」
「それで、ご亭主は? 」
「パチンコですかね。そろそろ、戻って来ると思います。クラウスさん、お腹は空いてませんか? 軽食の準備はしてあるんですが? 」
「いえ。」
「みんな、出勤前に軽く摘んでいくんで準備してあるんですよ。だから、手間はかかってません。」
 そういうことなら、と、クラウスも頷く。ミッション内容が、アレすぎて、緊張していたから移動中も、碌に食事をしていなかった。じゃあ、こちらを、と、すぐに出てきたのは、カレーライスとサラダだ。その頃には、ハイネが戻ってきて、同じように用意される。
「四日後のミッションまで、自宅待機な? ママニャン。」
「手伝いはいらないのか? 」
「この時期は、それほど忙しいわけでもないんだから、ゆっくりしてろ。」
 食ったら出るぞ? と、クラウスに声をかけて食べ始めると、悟空が戻って来た。そして、少し時間が空いて、寺の坊主も帰ってくる。
「おら、戦利品だ。」
「タバコ? お菓子にしてくれりゃあ、いいのに。」
「おとつい、菓子にしてやっただろうが。」
「あんなぐらい、悟空が一日で消費しちゃいましたよ。」
「さんぞー、菓子にすんならさ、腹に溜まるもんがいい。チョコレートなんか足りないぞ。」
「食いすぎなんだよっっ、サル。」
「うるせー育ち盛りなめんなよ? さんぞー。」
 寺の家族会話は騒々しい。挨拶しようとクラウスは思うのだが、口を挟む暇がない。カレーライスを食べ終えたハイネが、そこで仲裁に入る。
「三蔵さん、ちょっとストップ。 こっちは、クラウス・グラード。ロックオンのセフレだ。今回の特別イベントに参加要請されたんで、しばらく寺に滞在させてもらうぜ? 」
「クラウス・グラードです。よろしく、お願いいたします。」
 ハイネの紹介に疑問を抱きつつも、クラウスも真面目に会釈して握手を求める。おう、と、寺の坊主は鷹揚に頷いて手を差し出す。別に、誰が滞在していようと、坊主には関係がない。世話をするのは女房の仕事だ。
「うちの女房は、ちょっと死にかけてるから、自力で生活してくれ。やり方は、そこの間男を参考にすりゃいい。」
「はあ? 」
「ちょっと、三蔵さん。なんてことを言うんですか。俺は、全然、元気ですよっっ。」
「ああ? おまえ、一日寝暮らして、一日動いての繰り返ししてねぇーか? 半分ぐらい死んでるだろ? 」
「そーそー、ママは働きすぎなんだ。三蔵の世話だけしてやってくれればいいからさ。」
作品名:こらぼでほすと 十一月1 作家名:篠義