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こらぼでほすと 十一月3

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 まあ、実は、いろいろと打ち合わせをするために、まずは本宅へ移動している。ライルのほうは組織とホットラインが繋がっているから、情報交換は多くはないのだが、クラウスとは直に対面するのは難しいから、顔を合わせられる時に、今後についての話をじじいーずとキラ、アスランとしているのが実際のところだ。いってらっしゃい、と、送り出すと、ニールはこたつに足を入れて寝転ぶ。亭主は、食後の一服をしている。
「うちは何時でした? 」
「バカは七時入店の予定だから、六時ぐらいだろう。」
「え? 遅すぎませんか。」
「おまえは、バカの隣りに座ってヘラヘラ笑ってろ。あっちも、おまえを疲れさせることはしないはずだ。」
 バカというのは、本日のスペシャルなお客様のことで、店のことも、よくご存知の方だ。だから、ニールの体調が優れないことも知っているから、動き回るような接客の必要はない。
「俺は余興もないんですが? 」
「おまえに余興させるようなバカなら、指名を外させてるぞ。」
 本日のお客様は昨年から、ディランディ兄弟で接待をして欲しい、と、リクエストしていた。だから、ニールも出張るのだが、事情も知っているから無茶ブリはしない。そこへ、ニールの携帯端末にメールが着信した。相手は、アスランからだ。迎えの時刻は五時となっている。
「五時ですよ、三蔵さん。」
「はあ? 二時間も何をさせるつもりだ? 」
「さあねぇ。まあ、椅子や机の配置を換えたりもあるでしょうから。」
 そして、今度は三蔵の携帯端末に着信だ。こちらは、どこぞのイノブタからで、ニールに気功波を当てるから、早めになった、という連絡だ。
「八戒が、おまえの診察をするんだとよ。」
「ああ、そっちか。」
「とりあえず寝とけ。結構、長丁場だ。」
「はいはい。・・・明日、起きられなかったらすいません。」
「昼には叩き起こす。」
「何かリクエストは? 」
「即席ラーメンに玉子。」
「もやしとキャベツぐらいは投入しますよ? 野菜も摂らないと。」
「なら、メンマも入れろ。」
「好きですねぇーあんた。」
 もちろん、寺の女房は、メンマも冷蔵庫に常備している。亭主がメンマ好きだと判明してからは切らしたことはない。そのまま酒のアテにもできるし、ラーメンに投入してもいいし、野菜炒めにも入れられるから、結構、重宝な食材 だったりする。
「あれはうまいんだ。」
「ああまあ、食感はしっかりしてていいですよ。俺も好きだ。」
 ころりと寝転がった女房が笑いつつ、欠伸して寝返りを打つ。それを見て、亭主は部屋の隅に置いてある毛布をかける。少し動いて少し休んでという具合だから、マイペース邁進亭主でも、風邪は引かせたくないらしい。




 夕方、店に入ると、即座にニールは奥へ連れて行かれる。八戒の施術室へ連れ込まれ、気功波を浴びせられる。
「身体に気功波が、馴染むまで寝ていてください。まだ時間はありますから。」
 全身に気功波を受けて、さあ立ち上がろうとしたら止められた。毛布をかけられて、ポンポンと腰の辺りを叩かれる。
「ミーティングは? 」
「ああ、ニールの本日の仕事は、お客様の隣に座って、ロックオンとクラウスさんを手足のように使ってお客様の世話をするだけなので、これといって打ち合わせはありません。エントランスでの出迎えはなしで、直接、席に最後に現れるということで。」
 とりあえず、ニールは動かさない、ということでスタッフも考えている。いつもなら、食事の取り分けから飲み物の配達、施術室への案内と、いろいろと動き回るのだが、今回は敢えて座って命じるだけ、ということにした。もちろん、お客様からも、「ニールは隣りに座っていれば、それで十分。」 というオーダーも届いている。
「最終のミーティングの時に呼びに来ますから、それまでは横になっててください。わかっていると思いますが、あまり動くと丸一日寝ている羽目になりますからね? 」
 大人しくしていろ、という背後からの八戒の強烈なオーラで、ニールも大人しく頷く。言葉は優しいが、言葉以外が怖いので逆らわないにこしたことはない。
 トントンとノックが聞こえて、虎が顔を出した。見張り役であるらしい。自分には、コーヒーを、ニールにはオドロオドロシイ色の漢方薬の入ったコップと水を運んで来た。
「八戒、ホールのほうを頼む。こいつは、俺が見張っているから。」
「わかりました。ニールが、それは飲み干したら行きますよ。」
 はははは・・・と、八戒は爽やかに笑っている。わあー鬼が居る。と、ニールは内心でツッコミだ。さあ、と、笑顔で勧められて、一気に飲み干す。ここんところ、食間と食後に、これを飲んでいる。体力を落とさないためらしいが、どんなに飲んでも慣れない代物だ。八戒が部屋から出て、すぐにミネラルウォーターを口に含む。すると、無味無臭ではなかった。ほのかに柚子とハチミツの匂いがする。
「トダカさんが、口直しなら、そういうのがいいだろうと作ってたぞ。本来は冷やして飲むのがベストだが、おまえの場合は刺激が少ないほうがいいから常温なんだそうだ。」
 見た目には、ただのペットボトルだが、中身は入れ替えてあった。確かに、これなら口の悪いのも収まる。
「これいいなあ。後でレシピを教えてもらおう。虎さん、俺の監視は必要ないですが? 」
「まあ、そう言うな。ホールの家具の配置換えをサボるには、いい口実なんだ。」
「手は足りてるんですか? 」
「シンとレイも来ているから問題ない。顔色は悪くないな。」
「そりゃもう、サボりまくってグウタラ専業主夫を満喫させてもらってますから。」
「あははは・・・それは羨ましいな。元気の有り余った年寄りは、こき使われている。」
「忙しいんですか? 」
「来月の頭に、オーナーがプラントでのコンサートに遠征するんで、エターナルの整備やら航路の選定やらで忙しい。」
 実際のところは、それにニールの治療が絡んでいるから、そのための航路計算とか移動に際しての船の手配とか、諸々があるからのことだ。そんなたわいもない話をしていたら、ノックの音と共に鷹も顔を出す。こちらも、手にしているのは、湯気の上がったコーヒーと別のマグカップだ。
「よおう、麗しの白猫ちゃん。お父さんからの差し入れ第二段だ。」
 ニールのマグカップに入っているのはショウガ湯だ。これなら、身体も温まるから、と、トダカが用意したらしい。
「鷹さんもサボりですか? 」
「サボり? 俺は、白猫ちゃんとのスキンシップに参上しただけだ。・・・・逢いたかったよ? 俺の白猫ちゃん。」
 いい声で囁かれても、ニールも慣れたものだ。ここんところ、鷹は寺にも顔を出していなかった。虎が忙しいというのだから、同じ立場の鷹も忙しいのだろう。
「お疲れ様です。なんなら、横になりますか? 鷹さん。」
「いや、さすがに虎さんもいるから、そこまでのいちゃいちゃは、虎さんの目に毒だ。」
「かまわんよ、鷹さん。寂しいママニャンを慰めるというなら、俺のテクニックも披露させてもらおう。」
 どっちも冗談だが、ノリノリだ。本当に、この人たちは・・・と、ニールは額に手をやる。
「俺、おっさんと絡むのは拒否です。」
「ありゃりゃ、言うようになったなあ、ママニャン。」
作品名:こらぼでほすと 十一月3 作家名:篠義