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妖狐×僕SS~蝶の死~

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 「御狐神 双幟」は現在の年齢は45~6歳である。
 歳より10歳、15歳若く見えるのだ。
身体を見れば、もう分からなくなる。
 疵は付いているものの、美しく端正な顔立ちである為、女にも困らないと思われる。

 「双幟」は現在、黒社会の賭博試合の格闘士であったり、不正や悪事を働いている者を消す殺し屋をしたり、要人のSPだったりと、何処かに所属している訳ではなくフリーで活動し、場所を転々とし、日々を食って行っている。

 今の彼は、特に用事無く、街を歩いている。
 何処か退屈そうだった。

 「双幟」は戦ったり、刺激がないと、虚無感に襲われてしまうようになっていた。
 彼がこうなったのは、過去の中に在るのだが、それを知る者は此処にはいない。

 「双幟」の目の前に、人混みから男が現れた。
 身長180cm後半で、体重は100kg前後の坊主頭の中年男だ。
 「双幟」と大差のない身長だが「双幟」と違い、ゴツく、ずんぐりとしており、如何にも日本人らしい体型だった。
 しかし、その身体の肉の殆どは、筋肉で構成されている。
 まるで、大きく丸い岩のような男であった。

 男は「双幟」に対し、口を開く。

 「"御狐神 双幟"だな。"冥玄流活殺術"、"八嶋 仁蔵"だ。
 仇討ち及び立ち会いを望む。」

 「仁蔵」の声は低く、野太かった。
 容姿、声、風貌等、見た目の全てが「双幟」と正反対だった。

 「双幟」「あなたの様な有名な方が何故、僕に立ち会いを望むのです?
 理由は、何かありますか?」

 「八嶋 仁蔵」「お前に殺された、酷いイジメをして少年一人を自殺に追い込んだ餓鬼3人の内、その中の一人の餓鬼の親から、仇討ちでお前を殺すように依頼が来た。
 その餓鬼3人のイジメと、その餓鬼3人が変死体になっていたのは、最近の有名なニュースになっていたな。
 まぁ、その餓鬼3人の変死体の犯人は、お前だがな。」

 「仁蔵」は笑った。

 「双幟」「それは建前ですよね? 正直、あなただって、その餓鬼達は死んだ方が良いと思ってはいそうですから。」

 「仁蔵」「そうだな。しかし、依頼だ。それにお前みたいな強者と闘りたかったからな。
 その餓鬼の親は、ある程度の権力者らしいが、何故、貴様は姿バレるようにしていたんだ?」

 「双幟」「あなたみたいなのを待っていました。
 しかし、警察は僕を捕まえようとしなかったのは、何故でしょうかね?


 「双幟」は笑いながら言った。

 「仁蔵」「表沙汰にはしたくないだろうし、お前を捕まえられても、お前がケロッとしていたら意味が無いだろうからな。」

 「双幟」「その通りですね。では、行きますか?」

 「仁蔵」「そうだな。近くに良い場所がある。」

 「双幟」「分かりました。しかし、何故、不意打ちを仕掛けなかったのですか?」

 「仁蔵」「そりゃ、お前の様な極上品は、前から立ち会いたいからな。」

 「双幟」「ありがとうございます。"俺"をそういう評価してくれるとは…」

 二人は歩き、十数分経過していた。人通りの少ない所まで来ていた。

 「仁蔵」「もうすぐ、着くぜ。ほら、あそこだ。」

 その場所は、ビルに囲まれて形成された広場だった。
 男二人が闘うには、ちょうど良い場所だ。
 二人はその場所へ入った。

 「双幟」「いつ、始めますか?」

 「仁蔵」「常套句だが、もう始まっている。」
作品名:妖狐×僕SS~蝶の死~ 作家名:アッキー