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風香の手帖

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 一方、小岩井はよつばとジャンボが待つ自宅へ帰ってきた。
「ただいま」
「あっ、とーちゃんだ! とーちゃんおかえりー!」
「ジャンボ、留守番頼んで悪かったな」
「とーちゃんおみやげはー?」
「エクレア買ってきたから後で食べよう」
「エクレヤはちょーうまいな」
ジャンボが小岩井に話しかける。
「コイ、唇に口紅ついてんぞ」
「え!? マジか!?」
「ハハ、冗談だ。その様子じゃ、風香ちゃん化粧してきたのか」
「よくわからんが少しだけしたらしい。それでも変わるもんだなぁ」
「よつばもおけしょうするー」
「おまえがしたらお化けだろ」
「おばけちがう!」

「よつば、エクレアと牛乳持ってきてくれ」
「わかったー」
よつばは台所へ飛んでいく。
「それにしても、おまえが風香ちゃんを好きだったなんて考えもしなかったぞ」
「俺も知らん間に好きになってたからな」
「このことあっちの親御さんは知ってるのか?」
「いや。しばらく付き合って、風香ちゃんの気持ちが変わらなければ向うへあいさつに行こうと思ってる」
「おまえそういうの風香ちゃんに話してんの? もう付き合ってんだからちゃんと言っとけよ」
「ああ、わかったよ」
「しかしおまえもいい年こいて、よく女子高生を口説けたもんだな」
「最初は別に口説くつもりなかったんだがなぁ」
「とりあえずよつばの面倒は見てやるから、あさぎさんの件は頼むぞ」
「一応風香ちゃんには相談してみるけど、おまえ自分で誘えよな」
「そんな、は、恥ずかしい!」
「とーちゃん、もってきたー」
よつばがエクレアと牛乳を持ってきた。
「よし、じゃあ食べるか」

 しまうーと話した後、風香が自分の部屋で雑誌を読んでいると携帯が鳴った。
「あっ、小岩井さんだ! もしもし、風香です」
「ああ、小岩井だけど遅くにごめん」
「どうしました?」
「うん、実は来週予定が空いてね。海でも行こうかと思うんだけど、どう?」
「わー行きたい! どこの海ですか!?」
「江田浦とか近場を考えてるんだけど」
「いいですね」
小岩井が話を続ける。
「それで風香ちゃんにお願いがあるんだけど、前うちに泊ってたときに着てた白のビキニを、その日にまた着てくれないかな」
「白のビキニってバスタオル巻いてたときの? もしかして小岩井さん気に入ってくれたました?」
「う、うん。あのときはよく見てなかったから」
「わかりました。私の魅惑のビキニ姿が見たいということですね! でも小岩井さんがそういうお願いするのってちょっとびっくり」
「そお? 今はもう彼女だからお願いできるかなと思ったんだけど、変かな」
「いえ、変じゃないですけど、小岩井さんからそういうの聞いたことなかったんで」
「じゃあこれからいろいろお願いをしてあげよう」
「えー、えっちなのはだめですよぉ」
「はは、冗談だよ。それじゃ詳しいことはまた電話で。おやすみ」
「はーい。おやすみなさーい」

 電話を切った風香は考える。
「ふふ、おかしな小岩井さん。小岩井さんは白のビキニが好きっと。憶えとこ。でもそう言われるとまだ実感ないけど、私小岩井さんの彼女なんだよねぇ」
果たして自分は小岩井の”お願い”にどこまで応えられるのか。
風香の中を甘い感覚と、これから経験するであろう未知の世界への不安が交差した。そして先ほどかけたしまうーとの電話の内容が思い出される。
「高校妻かー。同級生より一足早く大人になるっていうのは憧れるよね。でも学校行って家事するのは無理だなー。小岩井さんにお願いすれば大丈夫かな。だけど小岩井さんいい加減なところあるし。じゃあ高校卒業して結婚? でも大学も行きたいかも」
そこで風香はふと我に返る。
「何考えてるんだろ、私。まだ初デートが終わっただけなのに」
ベッドに横になり、今日のデートを振り返る。
「小岩井さん、メイクかわいいって言ってくれた。あさぎお姉ちゃんに感謝だね。しばらくすっぴんでいた方が、メイクしたとき新鮮かな」
そういえばと思い出し、風香は今日小岩井に買ってもらった手帳を取り出す。
早速今日のデートについて書いていくが、やはりうれしかったことを手帳に綴るのは楽しい。
スケジュールが小岩井とのデートで埋まることを風香は願った。

 家族に見られないように棚の上に倒してあるフォトフレームを、風香は手に取って見た。
中には以前あさぎの友達の虎子に撮ってもらった、風香と小岩井の写真が入っている。
「このころはこんなに早く小岩井さんと付き合えるなんて思ってなかったし、ついこの間のことなのにもう昔のことみたい。またよつばちゃんと三人でご飯食べたいな」
風香は近いうちに、小岩井家へ泊りに行こうと考えるのであった。

作品名:風香の手帖 作家名:malta