必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 特別読切
そんなある日の地上本部第18会議室、議題は「ラルゴ15対策」であった。
彼の名は最近有名に成りつつあったが、その名が知られる以前に、地上本部を狙撃した事が判っていた。
あの、オルネライア執務官狙撃事件である。
管理局の防衛機能はもはや地に落ちていた、これ以上地上本部や、関係幹部を狙撃されては、管理局の沽券に係わるからである。
「あなたはどう思うの?ルネッサ=マグナス鑑識官」
「はっ、ターナー刑事部長、犯人は単独犯である事、魔力を持たないか、
持っていたとしてもCランク以下の極めて弱い魔力しか持っていないと思われます」
「何故そう思うのかしら?」
「レティ提督、それは犯行に使われているのが全て実弾銃である事、
狙撃場所と特定された所から、残留魔力がほとんど検出されていない事です。
もし、高町教導官や八神捜査官の様に強い魔力の持ち主でしたら、
現場で測定器の針が振り切れるはずです」
「そうなると魔導師の線は薄いと言う事ね」
「ただ使われている弾丸が97番世界の物なので、その関係の人間である可能性が高いと思われます。
それから、信じられないぐらいの腕をした狙撃手であるので、向こうに発見されたら逮捕所かこちらが死体に成りかねません」
そう、彼は狙撃不可能距離からの狙撃を成功させているプロなのだ。
「このクラナガンに97番世界の関係者はどのくらい居るのかしら?」
「推定ですが、およそ1万人程度かと思われます」
「そう、その程度ならそのうち捕まるでしょう?
私の所からは人手は割けないわよ、まだ評議会派の捜査が山の様に残っているのだから」
「そうだそうだ!たまには休暇よこせ!」
と隅っこの方で、フェイト、はやて、ギンガの3人がわめいている。
この三ヶ月間、一月当たり三日しか休ませて貰っていないのだ。
人使いの荒さでは、レティ提督は鬼だった。
「私がやります」
名乗りを上げたのはティアナだった。
「止めときぃ、駆け出しのひよっこじゃあ殺されるのが落ちやで」
はやてが窘める。
「そうです、あなたは狙撃者の恐ろしさを何にも判っていない」
ルネッサにもそう言われてしまった。
「そんなのやってみなけりゃあ判らないじゃないですか?」
「そんな甘い話ちゃうよー、プロの世界は」
「だったら、私の護衛に雇った中に銃火器のプロが居るから勝負してみるといいわ、その恐ろしさがよく分かるはずよ?
それから、ルネッサ=マグナス鑑識官、ティアナ執務官と組んでみないかしら?お互い学ぶ所は多いはずよ」
こうして、ルネッサとティアナはコンビを組む事になった。
以降、半年後に起こるマリアージュ事件まで、この腐れ縁は続く事になる。
作品名:必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 特別読切 作家名:酔仙