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必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 特別読切

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 同じ頃、108部隊隊舎
ヘリの整備を終えたヴァイスが、ナカジマ三佐達と雑談をしていた。
「時にお前さん、ラルゴ15って聞いた事あるかい?」
 ヴァイスは飲みかけていたお茶に思いっきりむせた。
まさか自分の事がいきなり話題に上がろうとは思っても見なかった。
「ま、まあ名前くらいなら何度か聞いていますがそれが何か?」
「何でも、物凄ぇ狙撃の腕らしいな」
「そのようですね」
「どうだ、お前さんから見て奴はどう見える」
「止めて下さいよ、俺は150mにも満たない距離で外してるんですよ、それで妹の目を潰しちまった下手くそです。
そんな俺と奴を、同列で見られても困ります」
 彼の妹の話が出てしまった事に、ナカジマ三佐が済まなそうな顔をする。
「それもそうだ、いや、済まなかった」
 これでラルゴの話題が終わってくれた事に、ほっと胸を撫で下ろすヴァイスだった。


 仕事が終わると、ヴァイスはとあるマンションに入っていく、ここは彼が偽名で借りている部屋だ。
彼は仕事人になる以前から、趣味の部屋としてここを借りていた。
今ではラルゴのアジトである。
 彼の趣味は、バイクの部品を集めたり、ジッポライターの収集、ミリタリーグッズの収集などであった。
特に、銃火器の収集に関しては並々ならぬ物があった。
彼はあらゆるルートで銃火器を収集していたのだ。
 この部屋は、まるで博物館である。
いろんな機械部品や銃火器が所狭しとディスプレイされ、足下にはボルトやら訳の分からない部品があちこちに転がっていて、
生活感は感じられなかった。
 どうやら彼は、この部屋が一番落ち着く様だ。
彼は妹を失って以来、自宅には戻らない事が多かった。
既に自宅には待っている人など無く、帰ってもただ虚しいだけだった。
ただ、妹の思い出の詰まったあの家を売り払う事も出来ずに今に至っている。
 妹を失ったあの日、怒りと憎しみが彼の才能を開花させてしまった。
正確無比な狙撃の腕と、自分の気配や魔力すら消し去るという能力を。
 元々彼はAクラスの魔導師である。
何かをしようとすればそれなりに残留魔力が発生するはずだが、それすら残さないという才能を同時に開花させてしまったのだ。
それ故に、ラルゴの正体が魔導師だとは誰にも気付かれないのである。