はいいろのゆび
「えっと…話は大体分かりましたが、私は具体的にここで何をすればいいのでしょうか?
私は緑の指の持ち主ではありませんが…。」
「菊には、俺の専属庭師になってもらう。」
「はぁ?アーサー、お前正気か?だって、菊ちゃん能力者じゃないんでしょ?」
「そ、そうですよアーサーさん!それに、アーサーさんだって知ってるじゃないですか!
私が…」
「“緑の指なんかなくたって花は咲く”」
菊の言葉を遮るように、アーサーは言い放った。
椅子から立ち上がり、ゆっくりと菊の正面へ向かう。
「反論は認めない。お前はもう昨日ここで働くと言ったんだ。
お前は今日から、俺の専属庭師として働け。」
「ちょ、アーサー!」
「分かりました。」
菊は静かに、凛とした声で言った。
「男に二言はありません。やると言ったからには、最後までやり通すのみです。」
フッと笑ったアーサーの顔は逆光で、菊からは表情が見えなかったがその髪はやはり
初めて店で会った時と同様、窓からの光を反射して輝いていた。