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はいいろのゆび

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Episode 4



部屋に戻ると、荷物の傍で丸くなっていたポチくんがトテトテと近づいてきた。

「ポチくん、お留守番ありがとうございます。」

優秀な愛犬を抱き上げて、もふもふすると心が落ち着いてくる。
そのままベッドに寝転がり、一息つく。荷物整理をしなければ、と思いつつもう少し
ゆったりしたい気もする。

コンッコンッ

ふかふかのベッドに身を預け、うとうとしていると部屋にノックの音が響いた。

「はい、どうぞ。」

ドアが開かれるとそこにはアーサーが立っていた。

「そ、その夕食が出来てるから呼びに来た。」
「そうですか。わざわざありがとうございます。」
「い、いや別に、場所は2階のホールだ。それだけ伝えに来た。」

そう言うとアーサーは足早に去って行った。

「あの…行ってしまいましたね。」

菊は身体の線が細いわりに、食べることが好きだ。
育て親の兄が美食家だったのもあってか、食に対するこだわりが強い。
そんな菊が夕食と聞いてじっとしていられるはずがない。
食堂にペットはまずいだろうとポチくんは部屋で留守番をさせて、廊下に出た。
落ち着いた臙脂(えんじ)の絨毯が敷かれた廊下は左右に長く伸びており、
辿りつけるか不安になってきた。

「確か、こっちから来ましたよね。」

来た道を戻れば人通りも増えるだろう、と記憶を頼りに歩き出す。
一つ目の角を曲がるとボスッと何かにぶつかった。
慌てて一歩下がり視線をあげると体格のいい、メガネをかけた青年が驚いた顔をして
こちらを見ていた。しかし、次の瞬間には表情をパッと輝かせて菊の両肩を掴んできた。

「キミ、かわいいね!いつからここで働いてるんだい?見たことない顔だけど…君も
ひょっとして“緑の指の持ち主”なのかい?」
「あ、あの、いえ、私は能力者ではありません。アーサーさんに雇われた者でして…」
「アーサー?キミアーサーの友達なのかい?」
「友達…という程ではありませんが…。」
「そうだよな!あのアーサーに友達が出来るわけないもんな!
ところで、俺これからご飯食べに行くんだけど一緒に行かないかい?」
「あ、はい。実は私もこれから向かおうと思っていたのですが、ここは広くて
辿りつけるか不安だったんです。」
「そうか。なら調度いいね。俺はアルフレッド・F・ジョーンズ。キミは?」
「本田菊と申します。」
「キクか。よろしくな、キク!」



作品名:はいいろのゆび 作家名:Sajyun