はいいろのゆび
食事のあと、アルフレッドは学校の寮へと帰りアーサーと菊は二人で廊下を歩いていた。
「アルはHGF育成学校の最上級生だ。まだアイツの指は“黄緑”だがまあまあ優秀だ。
軍にとって有力な人材になるだろう。」
「能力者の学校なんてものがあるんですねぇ。」
「あぁ。“緑の指”の兆しが現れたら、みんなこの学校に通わされて自然の法則や、
能力を使う際の規則を学ぶ。大きく分けて3つのグレードあるが、
生徒は筆記および実技試験に合格することで白、黄色、黄緑の順にグレードが
上がっていくんだ。そして、卒業試験に合格すると生徒は正式な“緑の指”の
称号を得るごとが出来る。その先は個人の自由だ。軍に入ってもいいし、
花屋や農家を始める奴もいる。」
「意外ですね。学校を卒業したらそのままHGF本部に勤めるのもかと思ってました。」
「いや、意外とみんな自由を求めて外に出る奴の方が多い。
それに、本部の入隊試験に合格できる人間はわずかだ。」
そういえば、アーサーさんもここの軍人だ。彼はどうしてHGFに入隊したのだろうか…。
菊がぼんやりと考えていると、いつの間にか自分の部屋の前まで来ていた。
「明日から早速働いてもらう。朝にまた迎えに来るから。」
「はい。ありがとうございます。」
それだけ言うと、アーサーは菊に背中を向けて行ってしまった。
部屋に入り、ホールでもらったあまりものをポチくんにあげ入浴の準備をした。
身体は思ったより疲れていたのか、お風呂をでるとすぐに眠くなり菊は自分の家とは
全く違うふかふかのベッドで深い眠りについた。