はいいろのゆび
「あれ~?ギルにアーサーじゃない。こんな所で何やってんの?」
「こら、フェリシアーノ!バイルシュミット中将にカークランド中将だろうが。」
「え~別にいいじゃん。ここ本部じゃないし、今は仕事中じゃないみたいだしさ。
それにルートだってたまにギルのこと兄さんってよんでるじゃん。」
ギルベルトとアーサーが菊の年齢を聞こうかどうか迷っていると、フェリシアーノと
ギルベルトの弟、ルートヴィッヒが来た。
「おう、ルッツにフェリシアーノちゃん!元気にしてるか?
俺のことはギルでいいぜ。もちろんお兄様でも可!ケセセセセッ!」
「しかしだな、ここはHGFの施設の一環だ。ケジメはしっかりつけないと…」
「もうルートは堅いなぁ~。ん?あれ、君見たことない顔だね。ここの学生?
こんな可愛い子がいるのに気付かなかったなんて、人生最大のミスだよ。」
「いえ、私はここの学生ではありませんよ。アーサーさん専属の庭師兼秘書を
やっています本田菊と申します。」
「俺はフェリシアーノ・ヴァルカス。女の子かと思ったけどその声の低さから言って
もしかして男の子かな?君、アーサーの庭に行ったことあるの?
めずらしいね。アーサーが自分の庭に他人を入れるなんて。どんな所?」
「フェリシアーノ!そんなに矢継ぎ早に喋るんじゃない。相手が困ってるだろうが。
俺の名前はルートヴィッヒ・バイルシュミットだ。」
「初めまして、フェリシアーノさん、ルートヴィッヒさん。」
お互いの自己紹介が終わり、フェリシアーノは菊に質問をあびせ、菊はそれに丁寧に
答えた。ルートヴィッヒも興味深々なようで、楽しそうだ。
「おい、お前どういうつもりだ。」
「あ?」
「他人を自分の庭に入れないことで有名なお前がどうして能力者でもない本田を
連れて行って、しかも専属庭師になんてしたんだ?
今まで自分で世話していて、庭師なんて雇ったことなかったじゃねぇか。」
「別に。特に理由なんてねぇよ。」
正直アーサーにも何故自分が菊を専属庭師にしたかなんて分からない。
アーサーはギルベルトの追求から逃れるように顔を三人の方へ向けた。
「おい、菊もう夕飯の時間だ。そろそろ帰らないと旨い料理は売り切れになるぞ。」
「それは大変ですね。では、フェリシアーノさん、ルートヴィッヒさんまた今度
会った時にお話しいたしましょう。」
ギルベルト、アーサー、菊は二人と別れ、図書館を出た。
アーサーが菊に明日の仕事の話をしている間、ギルベルトが意味深な目でアーサーを
見ていたが、それに気づかないフリをしてアーサーは足早にホールに向かった。