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はいいろのゆび

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Episode 8



一応、国家が運営しているだけあってここの食堂ホールは綺麗だ。
それにフランシスや学生時代気が合わずよく喧嘩したトマト野郎のような、
味に煩い奴らが学生を巻き込んで食堂改革なんてものをやったおかげで、
味もそれなりに美味い。

俺はいつものようにカウンターでカレーを注文する。
菊はすっかりここの料理が気に入ったのか、毎日違うものを頼んで、
ここの料理を全て制覇します!と、意気込んでいた。
だが、毎日メニューをころころと変えているから菊が全部制覇するのは当分先の話に
なるだろう。
それに未だフランシスが、ちょくちょくと新しいレシピを開発しては、
シェフに届けているみたいだから、新メニューは増えていく一方なのだ。
そんな暇があるなら、しっかりと仕事をしろ、と思うが要領がいいあいつは顔の広さを
利用して、のらりくらりとこなしていく。
そこが、奴のいけ好かない原因の1つではあるが。

「よう、アーサー。またカレーか?お前も飽きないねぇ。」
「うるせぇ糞髭。 近づくな気持ち悪い。」
「相変わらず口が悪いなぁ。そのよく回る舌を少しは料理を味わうことに使ってみたら?」
「いい加減にしないと髭どころか、その鬱陶しい髪もむしるぞ。
・・・例の件はどうなってる?」

料理ののったプレートを受け取り、席を探す。

「あっちの隅の方が空いてるよ。」

アーサーはフランシスの後に大人しく付いて行く。
本当は、こんな奴と一緒に食事なんてごめんだがフランシスはその誰とでもすぐに
打ち解けられる技量を活かした広い情報網を持っている。
それは仕事や作戦をたてるにあたって、かなり有力で欠かせないものになっているため、
それを定期的に聞き出すのもアーサーの日課になっている。
それに、腐れ縁の幼なじみでもあるこの男の前では気を使わないので楽でいい、
というのもある。

プレートを置き、椅子に座る。

「で?何、アーサーが何かお兄さんに聞きたいことがあるって?」
「分かってんだろうが。くだらない前置きはいいからさっさと話せ。」
「つれないねぇ。あれなら、何の進展のないままだよ。
嵐の前の静けさってやつかねぇ。」
「・・・フンッ、役立たず。」
「ちょっと、その言い方は酷くない?これでもお兄さん結構全力で収集してるんだけど!
少しは感謝するべきだよ。ま、お兄さんやれば出来る子だから全くの収穫なしって
わけじゃないけどね。・・・奴らはある人物を探してるらしい。」
「チッ、それを先に言え。で、誰なんだその人物は。」
「それが能力者らしいんだけど、守護霊や得意種どころか容姿も年齢も
分かんないんだよねぇ。だが、どうやら奴らはそいつを仲間にしようとしているらしい。」
「守護霊も得意種も分かんないのにか?」
「あぁ。だが、少なくとも奴らがそこまでして欲しい絶大な
力をもつ指の持ち主がいるってことだ。それも俺たちHGFの知らない…」
「お、アーサーにフランシス!こんなとこにいやがったか!」

人の多いホールで派手な銀髪が大声で呼び両手にプレートをもって向かってくる。
その後ろから黒髪の小さな身体が料理をひっくり返さないように気を付けながら、
銀髪の後を追ってきた。




作品名:はいいろのゆび 作家名:Sajyun