はいいろのゆび
「おい、フランシス。」
「ん?」
「ちょっと来い。」
「カークランド、ボヌフォワ!話があるアル。」
早朝会議の後、フランシスを捕まえ昨日の続きを聞こうとした時、
別の声にそれを阻まれた。
「王燿?」
「王大佐?」
長い黒髪を一つに結び、肩に垂らしている東洋人が腕を組んでこちらを見据えている。
スリットが入った赤い民族衣装の下にズボンという一風変わった格好をしているが、
細身の身体に似合わず、その戦闘能力は群を抜いており彼に勝てるのはこの世で元帥
と総督の2人だけだ。噂では軍の創設当時から一緒にやってきたというが、見た目はが
童顔のため実際の年は誰も知らない。人によっては、緑の指の力によって年をとらない
んじゃないかとも言われている。
「大佐が俺達に何の用で?」
「話はこっちの部屋でするアル。着いて来るヨロシ。」
フランシスとアーサーは一瞬目を合わせると、燿の後についていった。
「2人とも座るヨロシ。」
アーサーの部屋より幾分か広い部屋に通され、金の模様の入った木製の椅子に座る。
少将からは1人1人部屋が与えられるが、この部屋だけは他のどこの者よりも異彩を
放っている。全体的に赤を基調とし、金色で縁取られる家具は何となく落ち着かない。
「で、話ってなんだ?」
アーサーが促すと、燿は二人の前に腰掛け口をあけた。
「イヴァン・ブラギンスキのことアル」