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26歳会社員をSAOにぶち込んでみた。 第一話

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「ああ、いいよ。 ついでにサニーと桜花も登録しておくか」
「了解ー。 んじゃボクも桜花氏にも申請ー」
「まぁウチはどっちでもいいんだけどね」
 そんなぬるーい感じのやり取りをした後、それぞれをフレンド登録。
 俺にとっては、これが記念すべき、このゲームでの初フレンド登録になるわけだ。
 なんだか感慨深いな。

「それじゃあ。 武器でも買いに行くか。 店売りじゃたかが知れてるが、武器の種類は変えられるし、無いよりマシだろ」
「お、いいねぇー! じゃあボク、両手長槍で! ベータでも槍使いだったんだよねー」
 サニーさんがなんだかウキウキした様子でそんなことを口にする。
 まぁ確かに、効率的に考えれば、槍は最良の武器だ。
 攻撃力、スキル、リーチ、どれを取っても文句はない。
 というかどんなネットゲームでもそうだが、剣なんかよりも槍の方が強いことが多々ある。
 見た目は地味だが、性能はピカイチだ。

「ウチは無難に細剣かな。 攻撃速度速いし、防御も出来るし」
 桜花が言うそのタイプの武器は、確かにいい。
 スキルも豊富だし、何よりベータ時代の使用者の数も合間って情報がそれなりに熟成されてる。
 ネックは攻撃のモーションが長いのと、手数で勝負のため一撃離脱戦法には向いてないということだ。
 さらにメインが一対一での戦闘を想定しているため、囲まれると厳しい。
 まぁそこはPTプレイ。 槍のサニーさんがいればなんとかはなる。

「えと、じゃあ僕は盾役やろうかな。 極めれば安全らしいし……」
 ホイミの言うことは八割方合っている。
 というか、さっき俺とサニーさんが盾役の重要性と安全性について徹底的に教え込んだというのもあるのだろうが。
 盾役は文字通り、防御力が高い、故に、死ににくい。
 リスクを負って攻撃するよりも防御が優先されるため、盾役以外全滅、なんてことにならない限り基本死なない。
 PTプレイにおいては必須の存在だ。
 正直、他のやつがやらなければ俺が盾役をやってもよかったんだが……。
 まぁやってくれるなら、それで十分だ。
 これで、俺も本当にやりたい武器を使える。

「じゃあ俺は大剣だ。 ベータでも使ってた武器だしな」
「大剣かー。 あれマゾ武器だよねー」
 すかさずサニーさんに突っ込まれた通り、確かに、マゾい武器だ。
 オーソドックスなスタイルとは裏腹に、非常にリスクが伴う。
 攻撃力こそ高いが、攻撃速度はあまり速くない。
 もちろん、見た目はいいから使用者は決して少なくはないのだが……。
 使ってるやつは二つに一つ。
 見た目に引かれた厨房か、使いこなせる玄人かの二択だ。
 まぁ俺もあんまりうまくはない……現時点じゃ、厨房だろうな。
 そんなことを思いつつも、それぞれの武器が決定したところで、買い物へと行く。
 購入前、さて、ここでも問題が発生する。
 買う武器のグレートだ。
 防具ももちろんそれなりに整えなければいけないから、金のやり取りが発生する。
 しかし、もちろん、ゲームを始めて1日目の俺達は、どちらも最上級のものを買えるだけの金はない。
 買えたとしても防具は一部位、もしくは武器のみになる。
 ついでに言えば、こんなとこで買える防具は大して見た目が変わるわけでもない。
 ローブのようなものも売っているが、防御力のアップがない、いわゆるアバターのようなものだ。
 金に余裕がない今、こんなのを買っている暇はないな……。
 そうなると、攻撃、防御のどちらかに金を賭けるかになるが。
 ここは性格の差が出る。
「ここは手堅く防御重視にするとしますかな。 武器は、このブロンズスピアで我慢するとしますか」
「えっと、あっと、僕はもちろん盾役だから、この盾と、鎧だけ買って……」
 サニーさんとホイミは完全に防御重視だ。
 特にホイミは武器すら変えず、防具に金を回したようだ。
「じゃ、ウチはスチールレイピア、防具はいらないや」
 対して、桜花は武器のみの変更。
 あとの金は恐らく回復アイテムへと使うつもりだろう。
 ……賢い……!
 これは、無謀ではなく、一種の効率化だ。
 一層において、ゲームバランスのため、敵が大量に出現するということはない。
 つまり、基本的には一対一の戦闘。
 そこで求められるのは、いかにダメージを少なく、敵を早く倒すかというのか課題になる。
 最悪、攻撃力を特化させて、一撃で敵を葬ればいいわけだ。
 特に、桜花の選んだ細剣ならば、攻撃速度が速いため、それが可能。
 攻撃速度が遅く、リーチ取りが必須となる槍や受けてナンボの盾役とは使い方が違う。
 それを心得た、懸命な選択肢。
 ならば、俺もここは桜花を習って……。
 この一層、店売りで買える最大の武器。
 グレートソードを購入することにする。
 一層でこれ以上は敵からドロップする大鉈しかない。
 当然入手は現時点で不可能。
 これで暫くは武器を買う必要はない。
 じっくりレベルを上げて金を稼げばいいだけだ。
 まぁ、武器を買った分、防具を買う金は今ない。
 俺も桜花と同じで残った金で回復アイテムを買うとしよう。
「お、様になってるなぁ、アルス氏。 どうよ、ボクのも、中々いい感じでしょ?」
「いいねぇ! なんだかみんなようやく個性が出た感じだな!」

 サニーさんとそんなやり取りをしていると、桜花が暫くこちらを見た後。
「……今更こんなこと聞くのもなんだけどさ。 アルスとサニーさん。 歳いくつなの?
結構いってるように見えるんだけど」
 ……痛いとこついてくるなぁ、この子は……。
 いや、ゲーム前にヒゲ剃っててよかった。
 ヒゲなんかスキャンなんかされたらたまんなかったぜ……。
「あ、えとー、ボクは二十七……」
 そう答えるサニーさんに、驚きを隠せない。
 あ、あれ、見た目的に二十歳くらいだと思ってたんだが……。
 俺より年上だとは……。
「俺、二十六……」
 そう言うと、何故か知らないが、ホイミの顔が明るくなり。
「よかった! 僕より年上で! 一番年上だと思ってたから」
 そんなことを、さらっと言った。
 それに反応するように、桜花は暫くホイミのことを見つめた後。
「で、ホイミさん何歳? ウチは十七だけど?」
 そんな失礼極まりないことを言った。
 おいおい……女性に年齢を聞くもんじゃ……。
 いや、でも女同士だからいいのか? どうなんだ? その辺り。
 そんな俺の思惑とは裏腹に、ホイミさんは。
「あ、僕は二十二だよ、現役大学生」
 なんてことを、サラっと言った。
 お、おう……としか、正直言えないぜ。
 正直、ネトゲでリアルのことなんざどうでもいいだろ……。
 オフ会とかするならまだしも……ていうか、顔出ししてる時点で既にこれがオフ会みたいな気もするけど。
 てことは、年功序列的に考えれば、サニーさん、俺、ホイミ、桜花の順だな。
 ただまぁ、そこはネトゲ、年齢差なんざ関係ねーだろ。
 そう思っていると、桜花が再び喋りだす。
「へぇ、みんな歳いってるんだね。 それはそうとして……」
 そこで一度区切った後。
 防具をつけようとしているサニーさんに向けて一言。