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魔法戦記リリカカルなのは To be tomorrow

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第4話 親子の絆、なのはの決意

 ヴィヴィオが目を覚ましたのは夕方だった。
気が付くと自分の家のベッドの上に寝ていた。
 さっきのあれは一体何だったんだろう?一瞬そう思った。
もしかしたら悪い夢だったんだろうか?
モニターを開いてニュースを見ると事件のことを中継している。
やはり夢じゃあなかった。
 以前ティアナとスバルから話には聞いていた。
「あの人は魔王だ、怒らせれば血の雨が降る」
などと散々聞かされてはいたが、とてもあの優しいママからは想像が付かなかった。
だが実際にそれは起きてしまった。
そして犯人とはいえ目の前でとてつもない惨劇が繰り広げられた。
 まだ信じられない気持ちで階段を下り、1階に行くとそこになのはの姿があった。
 なのはに駆け寄ろうとした瞬間さっきの姿がちらついて一歩踏み出した所で動きを止めてしまう。
その姿を見てなのはが手をさしのべる。
しかし、ヴィヴィオは首を横に振りながら「イヤッ」と拒否してしまった。
 明らかに怯えていた親子の絆にヒビの入った瞬間だった、そんなヴィヴィオの姿を見て、
なのはも深く傷ついてしまう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
 お互い声にならない状態で必死に言葉を紡ごうとした。
さしのべた手が中を泳ぐ、
でも、掛ける言葉が見つからない。
 その瞬間モニターが開いた、スバルだった。
「なのはさん、奇跡が起きましたよ、あの子もお母さんも助かったそうです、手術は無事終了しました!
後5分救出が遅れていたら、二人とも助からなかったかも知れないそうです」
 なのはの目から暖かい物があふれ出す、それを見たヴィヴィオが泣きながら抱きついてきた。
二人で泣いた、スバルの目の前で、それを見たスバルもまた貰い泣きしてしまう。
ひとしきり泣いて泣きやんだ時、お互い見つめ合い、初めて言葉が出た。
「もう、怖くないよね?」
「うん」
 そこには、いつもの仲良し親子の姿があった。
「ねえスバル、今日はありがとね、スバルがいなかったら私多分絶望してた、絶望してあの親子を死なせてた。
私はね、ただ魔力が強いだけで、砲撃しか取り柄のないタダの馬鹿だわ」
「そ、そんなことないですよ~、今日だって悪い奴らをやっつけたじゃないですか?
なのはさんがいなかったら、救出すら出来なかったと思いますよ、犠牲者だってもっと増えていました」
「あ、あれはね、刺された子供を見てもう殺るしかないと思ったの、
本当は殺したくはなかったけど、あれ以上長引かせる訳にはいかないし……
マニュアルにもあるでしょ?」
 
 対凶悪犯対応マニュアル
  一つ、犯人を過剰に刺激しない
  一つ、犯人を逃がしてはならない
  一つ、人質を交渉材料にさせてはならない
  一つ、人的被害は最小限に留める
  一つ、状況によっては、犯人殺害もやむなし
「でもね、そんなマニュアルよりも、犯人を許せなかったの、
マニュアル通りの行動かも知れないけど、自分の怒りにまかせて力を使ってしまったの、
許せないっていうだけで3人も殺しちゃうなんてどうかしてるよね、魔王って言われても仕方ないよね」
「卑屈にならないで下さい!」
「あいつらは射殺命令の出てた極悪人です、それに私はその魔王の弟子2号です!
1号はティアですけど……その弟子2号があなたの教えを守って数多くの人命を救っているんです、
もっと胸を張って前を見て下さい!」
また、なのはの目から涙があふれ出す。
(本当にありがとうね、スバル。)
 
 ヒビの入った親子の絆も、傷付いたなのはの心も、スバルという絆創膏がふさいでくれた、癒してくれた。
今、喉から手が出るほど彼女のことが欲しかった、もう一度自分の下で働いて欲しいと思った。
でも、それは許されないこと、あの子は命の現場に最も必要な人間、自分の手元に置いておくことは許されない。
なのはは、ぐっとそれを飲み込んで話し始めた。
「ねえスバル、今はまだ話せないけど……多分、1~2年以内にはあなた達の必要とする物をなんとか出来ると思う。
絶対にしてみせる。期待して待ってていいよ、今日は本当にありがとうね、スバル」
 そこで通信は切れた。
 スバルは本当に強くなった、絶望することの許されないレスキューの現場でどれほどの絶望を味わってきたのだろう?
その絶望を踏み越えてなおレスキューの現場に立ち続ける、どれほどの勇気が要るのだろうか?
それに比べて自分は何だ、無敵のエースと呼ばれていい気になっていただけだった。
小さな命一つ救えなかった、救うことを諦めてしまった自分が情けなかった。
これほどの挫折は、落とされた時以来だった。
(今度の試験、絶対に受かる、受かって前に進むんだ!)
 強い決意が彼女の胸に芽生えた。
「ただいまー」
「あ、フェイトママ」
「どうしたの?そんなボロボロになって……」
 シグナム、ヴィータと共に最終特訓をしてきたらしい。
「明日は1日完全休養して試験に臨みます」
「じゃあご飯にしようか?今日はカルボナーラとグリーサラダね」
(当分は、お肉もケチャップも使えそうにはないかな?)
 同じ頃、
「あ、目が覚めたみたいっす~」
「大丈夫だったか?姉は心配したぞ」
「明日、スバルが辺境世界まで送っていってくれるってさ。」
 キャロはナカジマ家で目を覚ました。