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隣が特等席

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「それではこれで隊首会はしまいじゃ、散会っ!」

隊首会も大きな案件もなく滞りなく終了し、総隊長のその言葉で一護はいそいそと隊首会室を後にしようとしていた。
それは正しく重國に小言を言われないようにするためである。

それに気が付いた重國が、これ!一護!!!またんか!と言っていたが一護は舌を出しながら耳を押さえて出口に向かっていた。

その態度が更に山本に怒りを増大させるのかをすっかり忘れていた一護だ。
総隊長の頭に増えた血管をみた他の隊長はあーあと一護と総隊長の大騒ぎを予見した。

そんな様子に気が付かず一護は自分を迎えに来ていた副官のもとに向かい自分の隊に向かい始めた。
その後に副官もそっとついてくるが、総隊長の様子に気が付いたのか小さくため息を吐いた。
「また総隊長を怒らせたんですか、隊長」
「別にそんな事してねーよ、重國が勝手におこってんだろ?」
としらっとこたえる一護を周りの隊長達が苦笑していた。
その様子をみて副官はそれが嘘であると確信した。
「そんなこと言って、後にどうなっても知りませんよ。私はなんにもしりませんからね」
「なんだよ、冷たいなー。俺の副官だろう?」
「隊長の件に関して総隊長が間違ってた事はありませんからね」
「なんだよ、それ…」
「総隊長は隊長の事が心配だって話です」
「あー………」
その言葉に一護は歯切れが悪い音を発し、視線が泳いだ。
そんな会話をしながら自隊に向かう階段に足を向ける。
隊首会を行う一番隊、とくに隊主室のある場所は高い塔の上にある。
そのため、一護もどの隊長も長い下り階段を下りることになる。

ちょうど階段をおりようをしていた時に後ろから声がかかった。
それは副官を連れた四番隊隊長であった。
「一護隊長、あとで忘れずに四番隊に来なさい、約束ですよ」
有無を言わせぬ迫力でいってくる、さすがは医術を司る隊主。逆らえるはずがない。
一護はぎぎぎぎと声の方に顔を向け、うなづいた。
そんな様子をみて副官ははっと気が付いた。
最近、己の隊長は体調が優れていなかった。
後で問い詰めてやろうときっと己の隊長の背中をにらみつけた。
そんな気配を感じたのか一護は四番隊隊長への挨拶もそこそこにさっさと階段を降り始めた。
そんな一護を横目で見ながら一護の副官は丁寧に四番隊隊長に頭を下げた。
それは勿論挨拶であり、一護の体調不良をとがめてくれた礼であり、今後の診察に感謝するものであった。

一護の副官がそうして四番隊長とあいさつを交わしている後ろ―一護が下っていた階段―から何かが転がり落ちる音がした。

副官がすぐさま階段の下を見るとそこに一護が倒れていた。

「隊長!!!!!!!」

気を失っている一護の元に直ぐにより声をかけるが反応がない。
体を揺すろうかと手を伸ばそうとした時

「揺すってはいけない」

すぐ傍に四番隊隊長がやってきたいた。

「頭を打っているかもしれない…早く四番隊に。今、運びますね。」
「よろしく、お願いいたしますっ」







作品名:隣が特等席 作家名:アズ