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yamatoへ…Ⅰ

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守は一日の仕事が終わると進の所へ行くのが習慣になっていて今日も病室に足を運んだ。
進以外のベッドはお母さんや家族の誰かが付いていた。守はベッドごとに頭を下げてあいさつしながら進の所へ来たがベッドはもぬけの殻だった

  「図書館かな…」

そう言いながら守は病室を出て図書室へ向かうとそこに守の大きめのカーディガンをはおりながら勉強してる進がいた

  「…根を詰めすぎるな。せっかく良くなってきてるのに悪化するぞ?」

守はそう言いながら進の横に座った

  「…うん、大丈夫。あ、兄さんちょうどいいや、ここなんだけど…」

進は数学のわからないところを守を捕まえて勉強し始めた

  「結構難しいとこやってるんだな」

守は自分が学業から随分遠ざかっていた事を思い知らされたが例題を見ると思いだす事が出来たのでなんだかんだいながら進の先生をした

  「モリタ先生がね熱が出なければ一週間後退院してもいいって。」

進は守に図書室を出て病室に戻りながら退院の事を話した

  「兄さんの寮は独身寮でしょ?僕一緒に住めないよね。」

守はちょっと考えてこう答えた

  「進、とりあえずしばらく兄さんの部屋にいろ。今日訓練学校の受験の申請したから
   退院したらそれを受けるといい。ただし中途入学の入試の合格者は0だ。今まで
   合格者はいない、ということだ。全国区から選ばれた人間だけが通ってる学校だ。
   心して勉強しないと通らない、という事だ。酷なようだがこの試験に落ちたら…」
  「施設に行くってことだよね。兄さんの寮には住めない…とうさんの申請した部屋にも住め
   ない…ってことだよね。大丈夫、分かってるよ。だから…がんばるよ。」

進の眼は訪問に来た時の眼と違って憎しみの光を放っていた。守は気付かぬ振りをして進の少し後ろでため息を小さくつくと

  「じゃぁ兄さんは帰るよ。無理するな。隊員が遅れたら入試受けられないぞ。入試は三週
   間後だ。兄さんも合わせて休暇を取るから…また明日様子を見にくるよ。」
  「ありがとう、兄さん。また明日ね」

進は病室の前で守と別れるとおとなしく病室に入って行った。病室に同室の見舞客はすでになかった。

作品名:yamatoへ…Ⅰ 作家名:kei