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yamatoへ…Ⅰ

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翌日守が出勤すると進はモールへ足を運んだ。


そこは普通のモールで地上と区別つかないぐらい栄えていた。進はとりあえず自分の服を探してあちこちうろついた。モールは24時間営業で地下のせいか時間の観念がなくなりつつあるようだった。

進はTシャツや下着、靴下、スニーカーを数点購入し試験に着て行けるようにと少しかしこまったブレザーとシャツ、ローファーを買った。

  「…合格者0かぁ…厳しい世界だな…中学校が始まってもう3か月経つんだよな…って事
   はすでに入学してるヤツらは想像以上に進んでるんだろうな。追いつけるだろうか…
   いや、こんな考えじゃダメだ。抜くぐらいの気持ちをもたないと…」

進は親が買って来た服を従順に着てたタイプの人間なのであまり買い物とかしたことがなかった。取り急ぎ必要なもの以外は購入せず守のいいつけ通り無駄なお金を使わないように、と思いながらジュース一本買わず早々に寮へ戻ってきた

  「進くん」

寮の玄関で呼びとめられた。朝食堂で守に紹介された守の同期の幕の内だった

  「あ、こんにちは」

進が荷物いっぱい抱えて帰って来たので

  「昼飯まだだろう?俺、これから食べるから一緒に喰おう。荷物おいたら食堂にこいよ。」

そう言うと大きな体をのっしのっしさせて食堂へ戻って行った。

  「ひょっとして待っててくれたのかな?」

進はそう思いながら守の部屋に入りブレザーをクローゼットにかけると他の荷物はそのままに幕の内の待つ食堂へ向かった。

幕の内の食事はおいしくまだ食の細い進もたくさん食べる事が出来た。よく見るとお肉の大きさが微妙に進の方が小さかったりしていた。食後は夕食の仕込までの間勉強を見てやると言われ食後図書室へ向かおうとして端末を持ってきていたのでそのまま食堂で勉強することにした。

  「幕の内さん兄さんより教えるの上手みたい。それなのにどうして食堂にいるんですか?」

つい先日まで小学生。不思議に思った事はつい口に出てしまう

  「ははは…そうか?進くんは正直者だな。…俺は運動神経が鈍いんだよ。だから実戦
   向きじゃないわけ。中学出て訓練学校にきたはいいけど卒業後進路がないんだよ。
   で、食堂でどうしようか悩んでたわけ。そしたら厨房のオジサンたちが味付けがうまく
   行かないと奥で試行錯誤してて試食を頼まれたんだよね。で、どうしたらいいのか俺
   に聞いてきてさ…で、俺のアドバイスが功を奏して素晴らしい夕食が出来たってわけ。
   そしたらがぜんやる気が出てきちゃって…防衛大学に進んで宇宙栄養学を専攻してさ
   戦艦専属のコックになろうと思ったわけ。でも宇宙食って…わかるだろ?それだから
   余り専攻した価値なかったんだよな。でもコロニーで野菜とか作ってるんだ。長距離を
   航行する艦に畑が出来てもおかしくないだろう?その時にきっと俺が必要になると思っ
   て今頑張ってるわけ。」

作品名:yamatoへ…Ⅰ 作家名:kei