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yamatoへ…Ⅰ

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翌日から進は守の寮からリハビリに通いだした。

中央病院は軍属なので守の寮の近くにあった。進は合格後の事を考えて少しでも体が元の状態に戻るようにと自分を痛みつけるようなリハビリをこなしていた。それを見た医師が注意するも自分の体だから、といい被爆前の体調に戻れるよう必死になっていた。

リハビリを終えて寮に戻ると幕の内と一緒に勉強をする。訓練予備生の試験に落ちようと今後の勉強に差し支えてはいけないと…もし施設に入るとしてもそこで甘えた生活にならないように今ここで出来る事をしようと努力していた。

  (…まるっきり正反対の兄弟なんだな…名前も守の方が進、って感じだな。でもこの人一倍
   の責任感ってどこからくるんだろう…生まれ持った物だろうか…それに教える事全てが
   しっかり吸収されていく。世が世なら学者だってなんだってなれるだろうに…それを…
   早く…この戦いが終わってくれたら…)

幕の内は感心するやら心配するやらだった

  「幕の内さん、僕にも料理教えてください。厨房に入って手伝いさせてもらえますか?」

進は幕の内が仕込みの時間になるのを見計らってそう言った

  「進くんが?手伝える?大変だよ?玉ネギなんかたくさんむくからそれだけでも涙出て
   来ちゃうんだよ?それでもやる?」
  「僕ばっかり教えてもらっててお礼何もできないから…僕が手伝って幕の内さんが少し
   でも楽になれば…って思って。試験が終わったらそうしようって思ってたんです。」

幕の内は進の気持ちを受け取ることにした

  「そうか…進くんは偉いな。普通じゃそこまで考えられないぞ。よし、今日は大根の皮むきと
   玉ねぎの千切り…千切りは機械がやってくれるからむくだけでいいぞ。それとジャガイモ
   の皮むき。人数分だからたくさんあるぞ。頼むな!」

進はそう言われ頭をくしゅっとされるとうれしそうに“うん”とうなずいた。幕の内は初めて進の子供らしい顔を見たような気がした。


進は厨房に入る前に白いかっぽう着と長靴を履き帽子をかぶりマスクをもらった。それを身に付けた後手を洗い消毒をした

  「厨房に入るまで結構大変なんですね」
  「そうだね、食中毒出したらそれこそ大変だからね。その前に予防するんだ」

厨房の入ると今日の食材がてんこ盛りにテーブルの上に乗っていた。

  「この大根はどうするんですか?」

幕の内が1/3ぐらいに切ったのを進が桂むきしながら聞いた

  「味噌汁とキンピラ。進くんが皮も食べるんだよ。キレイに洗ってあるだろう?」
  「ふうん、無駄にしない、って事ですね?」

幕の内がそうそう、というように頷いた

  「進くんは結構手先が器用だね。お手伝いしてたの?」
  「はい。お母さんと一緒によく台所立ちました。でもお父さんも料理が好きで…だからかな」

進は照れ臭そうにそういうと

  「進くんのお嫁さんになる人は大変だな。進くん以上に料理が出来ないといけないからな」

進はお嫁さんという言葉に反応して

  「ま、幕の内さん、結婚なんて!」
  「うわ~焦ってる!好きな人とかいなかったの?」

進は焦って手元が狂いそうになったが

  「いません!いませんでした!」

幕の内は笑いながら

  「健全な10代なら好きな人の一人や二人いてもいいだろ?…まぁそれは置いといて…
   うん、進くんいいね。なかなか桂むきをすらすら出来る子ってなかなかいないよ。ここに
   来てから出来るようになったってヤツもいるくらいだからね。」
  「じゃぁここにいる間手伝いに来ていいですか?」
  「いいぞ、その代り勉強をおろそかにするなよ?」
  「ハイ!」

進は言われたとおりの事を終わると幕の内にお礼を言って図書室へ勉強しに向かった


作品名:yamatoへ…Ⅰ 作家名:kei