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yamatoへ…Ⅰ

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守はダッシュで帰ってきた

  「進、合格だって?」

息を切らせて図書室に飛び込んできた

  「うん、ほら」

そう言って合格通知を見せた

  「最初信じられなかったよ。合格率0%でしょ?幕の内さんがお祝いにってスコーンと
   ドーナッツを焼いてくれたよ。すっごいおいしかった。」
  「そうか…それはよかったな。いや…でもホントすごいな…お前…」
  「自分でも信じられない…かな。でもこれで施設に行かないで済むからよかったよ。」

守は進がどんな覚悟でこの試験に臨んだのかと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだった

  「ごめんな、進。兄さんが普通の社会人だったら同じ家に住んで毎日帰ってくるのにな…
   兄さんが軍人じゃなければなぁ…」

守は本音が出てしまった

  「兄さんが軍人になったのはずいぶん前だしそれはもう仕方ないことだし…全然気にして
   ないよ。きっと同じ環境のヤツはいっぱいいる。兄さんがいるだけましかもしれないし」

進はそう言って大きく伸びをした

  「…お前が部屋を出て行くと兄さんもさみしくなるよ。幕さんが待ってるから夜メシ食べに
   行こうか。」

進は大きくうなずくと端末を閉じて一緒に図書室を出た


食堂に行くとすでに進の合格が伝えられていて進が頑張ってた事を知ってる寮の人たちがおめでとう、と言ってくれた。


食事を終えて進がお風呂の入ってる間に守はいつものように飲み物を買いに食堂へ来た。

  「守、おめでとう。すごいなお前の弟…」
  「幕さんありがとな。お祝いまでしてくれたそうじゃないか。進喜んでたよ。」
  「まぁあれは俺の特権だ。…それより真田に報告したのか?手続きとかしてくれたのやつ
   だろう?多分連絡入ってると思うがちゃんとお礼言っておけ。同期でも礼儀は必要だぞ」

幕の内の言葉に守は

  「そうだな。真田にはちゃんと連絡しないとな。しかしこれから忙しくなるな。入寮の手続き
   や引越しの手伝い…今の中学の転校の手続き…でも中学がなくなってるからなぁ…
   このあたりは軍に相談するか。」
  「そうだな…手続きしようにも吹っ飛んでるんだろ?どうしようもないよな。…それよりお前
   さみしくてしょうがなくなるんじゃないか?今まで進くんがいたスペースがなくなって…
   お前泣きながら俺の部屋に来るなよな!お前が来ると狭くなるから!」
  「悪かったなでかくって!…でもさみしくなるよな。帰ってきておかえり、って言ってくれる
   やつがいるって結構うれしかったぜ?」
  「なんだ、おかえりならいつも俺言ってるじゃないか」
  「俺はナイーブなんだ。お前たちみたいなガサツなヤローの“お帰り”じゃ全然違うぜ!」

そんなやり取りをしてるとふと幕の内が笑った

  「…守が元気になってよかったよ。進くんが入院してまだ意識がない時…声かけられな
   かったからな。これからは進くんを泣かせないようにちゃんと還ってくるんだぞ。」

進は幕の内の言ってる意味をうなずきながら聞いて

  「あぁ…もちろんだ。絶対に還ってくるよ」

そう言って笑った

作品名:yamatoへ…Ⅰ 作家名:kei