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yamatoへ…Ⅰ

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進の通う訓練学校は守の寮からリニアで4つ離れた駅だった

  「近いね。」

そう言いながら訓練学校の隣の寮に向かった

  「すみません古代です」

守が声をかけると寮母さんが出て来た

  「あ、古代進くんね。あなたは?」
  「兄です。これから弟がお世話になります。よろしくお願いします。」

進も“古代進です、よろしくおねがいします”と言って頭を下げた

  「やっぱり守くん!」

寮母さんがうれしそうに守の顔を覗き込む

  「地上に訓練学校があった時…の寮母よ。元気そうね!今度は弟くんがくるのね。うれ
   しいわ。さぁ上がって。部屋の支度は出来てるのよ。あらそう…随分年が離れてるの
   ねぇ…靴はボックスが…そこ…。入れて…さぁさぁ…上がって上がって!」

寮母さんが嬉しそうに部屋の案内をしてくれた。

  「そう…じゃぁ今日は泊まるのね?じゃぁ部屋は狭いから家族が泊まりに来た時用の部屋
   があるからそこに泊まりなさいな。…あ、ちょうどここの向かいの部屋よ。寝るとき鍵を
   私の所に取りに来てくれればいいから。」

そう言いながら進の部屋に着き中に入りながら

  「この並び5人は同じ訓練予備生だから何も遠慮することないわ。彼らは今授業中でいない
   から…夜7時過ぎじゃないと帰ってこないからね。そしたらちょっとあいさつしなさいな。
   これからずっと一緒だからね。」

そう言って寮母さんは鍵になるカードを渡すと進の部屋を出て行った

  「さて、とりあえず荷物しまおうか」

守の一言で進も荷物を広げるとクローゼットに掛けたりタンスにしまったりした。
もともとの荷物が少ないのですぐ終わってしまったので幕の内の弁当を食べる事にした

ふたを開けると少し酸味のきいた香りがしてそこに稲荷が並んでいた

  「…懐かしい匂いがするよ…」

進が一つとって早速口に入れた

  「母さんの味がする」

不意を衝いてポロっと涙が出た。守も一口食べてみる

  「本当だ…甘くない…」

守は遠い記憶を思い出していた。まだ学生だった頃実家から持ち帰った稲荷を横からつまみ食いした幕の内の事を…

  「あいつ…その味を覚えてたんだな…うまいなぁ…進」

守の声も少し震えていた

  「うん、兄さん。おいしいよ。もう食べられないと思ってた…。えへ…おかしいなぁ…涙が
   出てくると味が解んなくなるよ。」
  「ばか、鼻が出るから匂いが解らなくて味がわからなくなるんだよ。泣きながら喰うなって」

進は一生懸命勉強して頑張ろうと気持ちを新たにした

作品名:yamatoへ…Ⅰ 作家名:kei