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yamatoへ…Ⅰ

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翌日から守は夜だけ進の所へ顔を出すようになった。進のところが個室だったので寮で食事とシャワーを済ませると病院へ出向き仮ベッドで眠るという日が続いた

時々時間を見て担当のモリタが守を待っていることがあった

  「毎日大変ですね。」

入院受け付けのところでモリタが待っていた

  「いえ、最愛の弟のためですから」

そう言って守は笑ったがすぐ真顔になって

  「進、どうですか?」

そう聞くと誰もいない外来の待合室の椅子に座ると最近の進の容体の話をした

  「血液検査の結果赤血球、白血球に異常は見られません。骨髄が正常に動いてる証拠
   です。貧血も大丈夫ですが…もうリハビリに入っていますが全然やろうとしないんです。
   生気が感じられない、というのでしょうか…食事も半分以上残してしまうし…我々が
   話しかけても生返事で…
   進君の年でご両親を亡くされて辛いのはわかります。でもこのままじゃ退院しても心の
   病で戻ってきそうで…心配なんです。
   私事で恐縮なんですが…私にも息子がおりました。」
  「おりました?」
  「えぇ…最初に富士山付近に落ちた遊星爆弾で…亡くなりましたが…年は13…まさしく
   進君と同じなんです。たまたま祖父母の所へ彼一人で遊びに行ってまして…妻は
   幼稚園に通う下の子と一緒に翌日向か予定だったんです。他の大陸ですでに遊星爆弾
   が落ちていたので私たちは日本で一番早く地下都市に移った市民でした。
   もう何があっても大丈夫、と思っていたのに…その油断がこの結果を招いたのでしょうか
   くやんでも悔やみきれませんでした。
   だからどうした、と言われてしまえばそれまでなんですが…私には進くんが息子に見えて
   しょうがないんです。私の息子はなにすることなく他界しました。もちろん遺体なんてあり
   ません。だからこそ進君には力強く生きてほしいって思うんです。そのためなら私は協力
   を惜しみません。守さんもどうか進くんを力付けてください。」

そう言ってモリタは目頭を押さえて

  「私なんぞが患者さんの生活に足を踏み入れて申し訳ないと思っています。しかし…」
  「先生、ありがとうございます。進と話をしてみます。ひょっとしたらヤツも何か自分で感
   じて自分なりに考えてる事があるかもしれませんから…」

守がそう言うと“ありがとうございました”と言って席を立ち進の部屋へ向かって歩き出した


作品名:yamatoへ…Ⅰ 作家名:kei