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僕らのサマーウォーズ

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「そういえばそうだったな。」
また笑いが沸き起こる。にぎやかな夜。宴は、遅くまで続いた。


2000年、8月1日。
「太一、太一!起きなさい!」
「う、う〜ん。」
「サッカーの朝練遅れちゃうわよ。」
お母さんの声にやっとこさ起こされたのは八神太一。まだ寝ぼけている。
「ほら、さっさと朝ごはん食べちゃって。」
「ふぁ〜い。」
寝ぼけ眼のまま顔を洗い、服に着替える。きちんと朝ご飯を食べて玄関で靴を履く。すると、後ろから声がかかった。
「お兄ちゃん。今日のお昼は絶対忘れないでね。」
「ああ、当たり前だろ。忘れるわけないじゃないか。」
「そうかな?この間もお友達から借りてた漫画返すの忘れてたよね?」
「あ、あれは偶然だよ偶然。とにかく、今日は絶対忘れないよ。行ってきます!」
そして元気よく外に飛び出した。
そう。今日は太一とヒカリにとって、いや、8人の選ばれし子供たちにとって、忘れようと思っても決して忘れることなどできない記念日なのだ。
ちょうど1年前のこの日、サマーキャンプに出掛けていた8人は、突然空から降ってきた不思議な機械に導かれて、デジタルモンスターと名乗る生き物たちと出会った。そこで繰り広げられたサバイバル。向こうとこちらの世界を巻き込む大事件。そこで育まれていった勇気、友情、知識、愛情、純心、誠実、光、希望。とても長かったけど、とても短かった夏の大冒険。今日は、その1周年記念日なのだ。
陽が高く昇り始める。今日も暑い日になりそうだ。
「おはよー。太一。」
「おう、おはよう。空。」
「今日だね。私たちの記念日。」
「ああ、そうだな。」
「みんな、元気にしてるかな・・・」
「きっと元気でやってるさ。」
その太一の言葉通り、デジモンたちは今日を平穏に過ごしていた。そして、気まぐれに開くデジタルゲートによって、子供たちと会っていたデジモンたちは、今日が自分たちの記念日だということを知っていた。そして、今日向こうの世界で子供たちがみんな集まることを知って、デジモンたちもまねしようとしていた。本当はデジモンも子供たちもみんなで集まりたかったのだが、残念なことにゲートが開かなかった。
「アグモン!」
「ガブモン!」
「ピヨモン!」
「テントモン!」
「パルモン!」
「ゴマモン!」
「パタモン!」
「テイルモン!これでみんな集まったね!」
8匹のデジモンは輪になって座る。冒険の後もよく会っていた8匹なのだが、なんだか今日はいつもと違う感じがした。
そして、こちらの世界でも選ばれし子供たちが集合していた。こちらも輪になって座る。不思議なことに、座っている並び順がデジモンたちのそれと全く同じだった。こちらの方はデジモンたちとは違い、久しぶりの再会となった。
「みんな久しぶりだな。」
「そうですね。」
「ほんと、丈さんなんかほとんど会わなかったわよね。」
「そんなこと言われたって、受験で忙しかったんだし、今は中学生だから小学生の時のように自由にはいかないし、それにデジタルワールドでは会っていたじゃないか。」
「こうして会うと、なんだかいつもと違う感じがするな。」
「そうだね。」
「デジタルワールドでも、デジモンたちが集まっているそうよ。」
「そうなんですか。」
「うん、この前ピヨモンに会った時に、みんなと同じ日に集まるんだって言っていたから。」
「だから不思議な感じがするのかな。」
「そうかもしれませんね。場所は違っていても、お互いを思う気持ちは変わりませんからね。」
デジタルワールドと現実世界、二つの場所で話に花を咲かせている八人と八匹の姿があった。
東京都お台場と長野県上田市。違う次元の同じ日本での八月一日は、何かと賑やかだった。


データの塊は、静かにしていた。再びただの塊から形を形成し、活動を再開できるようになるまで、今度は塵にされないように以前より強力な力を得るために。
その時は、近づいていた。


夕方になり、八人の選ばれし子供たちは解散した。
「ただいま帰りました。お母さん。」
「お帰りなさい光子郎。今日の晩御飯はグラタンよ。」
「本当ですか?僕、お母さんの作るグラタン大好きです。」
「ふふ、ありがとう。」
泉光子郎は帰宅すると、自分の部屋に置いてあるパソコンの電源を入れる。そしてインターネットにつないで世界中のチャット仲間とメールするのが光子郎の習慣なのだ。一年前の冒険以来、人付き合いは良くなった光子郎だが、やはりパソコンとチャットにはまっているのは相変わらずだ。
『皆さんこんにちは。何か楽しいことありましたか?僕は今日一年ぶりにとても仲のいい友達全員で集まりました。とても嬉しくて楽しかったです。』
こんな文面を送った数分後、いろいろと返事が返ってきた。
『今日は家族で動物園とプールに行きました。やっぱりテレビで見るのと本物は違うなと思いました。』
『クラスメート皆でクワガタやカブトムシを獲りに行いったよ。俺が一番たくさん獲ったんだ。って言いたいけど、本当はほかのクラスメートの奴が一番たくさん獲っていて、今度そいつにリベンジをしようと思っているんだ。』
『昨日と今日の二日間でサマーキャンプに行ってきました。川の水が冷たくて気持ちよかったな。』
サマーキャンプという文字を見つけ、光子郎は思わず微笑んでしまった。返事を書き込む。
『そうですか。僕もちょうど一年前にサマーキャンプに行って、そこで今日集まった友達と仲良くなることができたんですよ。』
顔は見えていないけど、確かに会話が成立している。自分は今確かに日本中、いやもしかすると世界中の人たちとつながっているのだ。その感覚が好きで光子郎はチャットにはまったとも言える。
よくチャットはお互いの顔が見えないから、いじめに発展することがあるなどと言われているが、光子郎は、チャットでいじめが起こるのはお互いの顔が見えないせいではなく、相手の気持ちを考えない人がいたときに、そんな事が起きてしまうのだと考えている。現に、光子郎は今までチャットを続けてきたが、まだいじめにあったこともなく、そんな光景を目にしたこともない。相手を思いやる気持ちがあれば、どこであろうといじめはなくなる。単純なことだがそう信じていた。
しばらくそんな調子でパソコンの前に座っていた光子郎だったが、ある一つの書き込みの前で手が止まった。
『僕は今日も相変わらずネットワークの中で遊んでたなー。外に遊びに行っているみんなが羨ましいよ。あ、そうそう。ネットといえば、今日こんなもの見つけたぞ。』
そんな書き込みの下にはネットワークの中を漂っている、何かが粉々になったような残骸の画像が載せられていた。きっとネットワークの塵をめずらしいと思ったが故に乗せた画像なのだろう。だが、光子郎はその画像に釘付けになった。その塵の中に何か黄色い、針のようなものが写っていたからだ。
光子郎は画像をファイルに保存し、拡大してそれが何なのかを確認した。
「これは・・・。」
黄色い時計の針だった。長針と短針両方あるからほぼ間違いないだろう。
「時計の針。なんでこんなものが・・・。」
これが気になるのは、先ほどから何か頭の中に燻っているものがあるからだ。こんな時計を以前どこかで見なかったか・・・。
作品名:僕らのサマーウォーズ 作家名:平内 丈