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僕らのサマーウォーズ

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DLは、キングカズマを蹴り飛ばしたあと、後ろからかかってきたオメガモンの一撃を受け止め、口からゼロ距離でカタストロフィーカノンを放つ。オメガモンも凄まじい敏捷性でかわす。その隙にキングカズマが上から奇襲をかける。それを弾き飛ばそうとした隙に、再びグレイソードが襲いかかる。そのままパワーで押し切ろうとしたが、DLによって二体ともはじき飛ばされる。遠ざかっていくキングカズマとオメガモンに向かってカタストロフィーカノンを撃った。煙が上がり、命中してしまったかと思われたが、その煙の中からガルルキャノンの光弾が飛び出してきた。それをかわすが、一気に間合いを詰めたキングカズマが蹴り飛ばす。その勢いで壁に激突したDLだが、その直後オメガモンの後ろに現れ、カタストロフィーカノンを撃った。流石に回避は不可能だったが、かろうじて防御する。そこでしばし膠着した。
「畜生、また時間を止めやがったぞ。」
「ああ、だが必ず倒す。」
こちらの士気はまだまだ衰えていない。キングカズマがそこに付け加える。
「どうやらあいつは、連続的に、そして長い間時間を止めることはできないらしい。」
その言葉にヤマトが同意する。
「確かにそうだな。もしいくらでも時間を止められるのなら、俺たちを簡単に倒せるはずだ。」
「だとしたら、時間を止めたばかりの今はチャンスだ!」
「そうだな!」
「二人共、その剣で僕を思い切り飛ばして。」
「わかった。よし行くぞ!」
「おう!」
キングカズマがグレイソードの側面に飛び乗り、オメガモンがそれを振り抜いた。キングカズマの元々のスピードに、グレイソードの加速が加えられる。しかし、攻撃は上に飛んでかわされる。だがそこをオメガモンがガルルキャノンで狙い撃ちにする。そこをDLはカタストロフィーカノンで応戦した。二つの光弾が激突し、激しい爆音と光が放たれる。
残り約五分。三者が三者とも激戦を繰り広げていた。劣勢ではないが、優勢とも言えない状況に、徐々に焦りを募らせていく。
「くそ、何とかしないと時間が・・・」
太一がカウントダウンを気にしていた時だった。DLが再び真後ろに現れた。今度は機敏に反応し、防御した後反撃を食らわせた。
だが、そのほんのわずかな時間でDLは再び姿を消した。
「何!?」
驚いていられるのも、ほんのわずかな時間だった。その直後、後ろから強烈な一撃を食らったのだ。回避も防御も全くできず、無抵抗に受けたダメージは大きい。だがそれ以上に、太一たちの衝撃は大きかった。
「今、連続で時間を止めたのか!?」
「なんで!?あいつは短い間隔で連続して時間を止めることはできないはずなのに!」
「こいつ、まさか今こうしている間にもパワーアップしているんじゃないのか!?」
その疑問に答えるかのように、再びDLの姿が消えた。今度はキングカズマの真上に現れる。
「!!?」
防御は間に合わない。そのまま真下に殴り飛ばされた。だが飛ばされた先にまたDLが現れ、さらにキングカズマを殴り飛ばす。さらにまた飛ばされた先に現れ、今度は蹴り飛ばした。そして、それを延々と続け始めた。
「やめろおおおおおおおおお!!」
猛然と襲いかかるオメガモン。だが、その瞬間DLの体が粉々になり、その破片で攻撃してきた。無数の弾丸を喰らい、キングカズマは吹き飛ばされる。オメガモンは防御は出来たものの、完全に動きが止まった。DLその隙を逃さずに襲いかかってくる。オメガモンも応戦した。だが・・・
DLとオメガモンがぶつかり合うと思われた瞬間、DLの姿が消えた。直後、オメガモンの後ろに現れた。だが、オメガモンはそれを確認することはできなかった。
DLがオメガモンの後ろに現れた瞬間、オメガモンは無数の攻撃を受け、凄まじい勢いで飛ばされたからだ。そして、止めの一撃と言わんばかりにオメガモンの飛んでいく軌道上に現れ、カタストロフィーカノンをゼロ距離で打ち込んだ。閃光に包まれ、オメガモンも吹き飛ばされた。カズマが体中の力が全て抜けてしまったかのような声でつぶやいた。
「そんな・・・・・・。」
ついに、戦えるものがいなくなった。
いや、あと二人だけ・・・健二と夏希だけはまだ戦っていた。
しかし、戦局は芳しくない。夏希は、全体的に優位に試合を進めているものの、最後に押し切ろうとするところで相手にこいこいをされてしまう。刻一刻と迫るタイムリミットに焦ってしまっているせいでもあるが、なにより相手の方が負けないように巧妙に立ち回っているのだ。
「このままじゃ埒があかない。何とかしないと・・・!」
気ばかりが焦り、事態は好転しない。そして健二は大きな問題に直面していた。
「これは・・・・」
健二は唖然としながら何度もマウスのホイールを回し、問題を確認する。というより、ホイールを回さなければならないほど数字の羅列が長いのだ。
「一体、何桁あるんだ・・・?」
呆然としている健二の横から太助が素早く数える。
「ざっと数えて五千桁ぐらい。さっきまでの問題の倍だな・・・。」
残り一問。タイムリミットまで、あと4分。
「やるしかない・・・!!」
そう強くつぶやき、健二は目にも映らない速さでペンを走らせる。既にその目は常軌を逸している。
「頼む。」
「頑張れ!夏希!健二君!」
二人は周りの静かな声援に、今まさに答えようとしていた。
「雨四光です。」
「こいこい!」
「三光です。」
「こいこい!!」
「青短です。」
「こいこい!!!」
「おめでとうございます。夏希さんの勝利です。相手プレイヤーから四七〇〇点が送られます。現在のポイントは、夏希さん一八五〇〇ポイント、レスネームさん一五〇〇ポイントです。」
残り約3分。あと一回、あと一回上がれば相手のポイントをすべて奪える。
「第9ゲーム目です。夏希さんの親からスタートします。」
「あと一回!」
夏希は次で最終戦にしなければならない戦いに望む。
ザザザザザザザザザザザザザザッ!
これはゴキブリが台所裏で這いずり回っている音ではない。健二がこの鬼畜とも言うべきラスト一問を解くためにペンを走らせている音だ。すでに健二の周りは散乱している紙で覆われ、完全に畳が見当たらない状態になっている。ペンもインク切れを起こし一度交換している。鼻からは血も滴っている。まさに極限の状況の中、健二は蜘蛛の糸をたぐり寄せるかのように正解へとたどり着こうとしていた。あと少し、あと少しだ。
夏希は焦る。あと一回、たった一回上がればそれで終わる。だがその一回を決めきれない。迫り来る時間と焦燥と戦いながら目の前の相手と対峙する。夏希もまた、極限状態にあった。
「お願い!!!」
そう強く祈り、山札から最後の一枚を引いた。ここで桐の五光の札が来れば五光で上がれる。相手に止めがさせる。
一生分の願いを使っても構わないほどの祈りを込めて引いた札は、カス札だった。
「上がれなかった・・・。」
夏希は表情をなくしたかのようにつぶやく。あと一回する時間は、はっきり言ってない。
審判の音声が流れる。
「両プレイヤーともに役が完成しませんでした。よって、親である夏希さんの親権が確定しました。相手プレイヤーから一五〇〇ポイントが送られます。」
その無機質な音声に、夏希はすごい勢いで顔を上げる。
作品名:僕らのサマーウォーズ 作家名:平内 丈