yamatoへ…Ⅱ
……顔…洗おう………
そう思ったが目の前が真っ暗になった。
気付くと足もとが沼地のようになっていて足が抜けない。足は膝までぬかるみにはまっていた。もがこうにも体が動かない…
どんどん下に引きずり込まれるような錯覚を感じふと足元を見ると無数の手が進の腰に伸びている
(うわ!なんだぁ?)
進は声にならない叫び声をあげた
<助けて…助けて…私も…助けて…熱いの…燃えるわ…体が…>
(うわ…やめてくれ…死にたくない…死にたくないんだ!父さん、母さん、助けて!)
<私も…死にたくない…助けて…熱いの…お水が欲しい…助けて…助けて…>
振り払おうとうしてもどんどん手は増えて進の体は沼地に引きずり込まれていく
(止めてくれ…頼む…止めてくれ!)
体全体が沼地に引きずり込まれた瞬間進は最後の力を振り絞って叫んだ
「うあぁぁぁぁっぁぁっ!!!!」
すごい叫び声とともにベッドから汗だくで進が起き上がった
「古代くん、大丈夫よ。ここ医務室だから…」
医務室の先生が血圧を測っている。
「160/130…深呼吸して…鼻でゆっくり吸って…吐いて…そう…ゆっくり…どう?少しは
落ち着いたかしら?横になって…」
進はどっとベッドに落ちるように横になった
「古代、大丈夫か?」
担当の橋本が医務室に来ていた。
「僕?」
「教室で倒れて…みんながここまで運んでくれたんだ。」
「そうだ…顔を洗おうとして…」
進は夢を思い出して震えてしまった
「しばらく休め。ここのところ無理してるらしいじゃないか。勝手に悪いと思ったが守に
何かあったら、と教えてもらった主治医に連絡したらすぐ病院に来るようにとの事で
もうすぐ病院から車がくる。主治医に指示に従って…明日は休みなさい。」
橋本は進に言い聞かせるように言い
「お前に何かあったら俺は守に殺されるからな。」
そう言って優しく笑った。
しばらくすると病院から救急車がやってきて医務室から進をタンカに乗せて運んでいった