yamatoへ…Ⅱ
「進くん、あれほど無理しちゃいけないって言ったのに!」
モリタが中央病院の救急搬入口で待っていた。進は酸素マスクを当てながらすぐ酸素室に入れそのまま処置が施されていった。酸素室に入ると酸素マスクから麻酔の成分も入ってきて次第に進の意識は薄れて行った
眼が覚めるとそこはVIPルームで個室だった。起き上がろうとしたが体が言う事をきかなかった
「だめだよ、寝てないと。」
いつもより厳しい口調でモリタがそう言った
「先生…」
「言っただろう?無理しちゃいけないって。白血球の数値が半端なく上がってて…放射線
治療したからかなりだるさが出てると思う。点滴でだるさも取れると思うけど日曜日まで
様子を見てここから学校に行ってもらうよ。月曜日はとりあえず半日だけ。午後は病院に
戻ってくる事。」
「え~」
「言いつけが守れないんだからそこまで管理しないとまた無理するだろう?4か月頑張って
通い続けた訓練学校を中退したくなかったら私の言う事をキチンと聞きなさい。
いい?脅迫に聞こえるかもしれないけど私が軍に“無理です”って言えば訓練学校に
二度と通えなくなってしまうんだよ。普通の中学に在校中に訓練学校の入試を受けて
合格しても入学許可が下りないんだ。そうなりたくなかったら今はじっくり体調を整える
時だと思ってゆっくりしなさい。わかったね?」
そう言うとモリタはナースコールを押して一人看護士を呼んだ。
「およびでしょうか」
「悪いね。この坊主が無理しないように監視してくれ。とにかく無理するから…体を動かさ
ないようしっかり見張ってくれ。」
「わかりました」
「じゃぁ進くん。また様子を見に来るからね。あ、食べたかったら食事は食べて平気だけど
無理して食べないように。」
そう言ってモリタは進の部屋を出て行った。看護士はよろしく、と言ったが進は布団を頭からかぶり聞こえないふりをした
(明日はテストだったのに…)
進は思い通りにならない体にいらついていた