yamatoへ…Ⅱ
進が予備生になって一か月が過ぎていた。守は相変わらず休日となると少し訓練学校に顔を出す。
進は経過を見るために時々病院に通っていた。守は病院の先生と訓練学校と連絡を密にとって進の体調に変化がないか気を付けていた。
体育の授業でみっちりアップするせいか基礎代謝が上がっていて体力がついたことを数値で知った。数ヵ月後の数値を見ないとわからないがこれで身長がしっかり伸びればほぼ心配ないだろうと言われた
守にとってたった一人の家族…それは進にとっても同じだが守は命に代えても進を守りたい、とそう強く願っていた。そして辞令が出た。守は翌週火星に3か月の滞在と言う事になった。
敵がいつ地球に攻めてくるか分からない。攻めてきたら防衛線を火星で張るために…守は前線を守るために派遣されるのだ。
(この少し前に火星に基地が建設された)
たまたま今回の週休日が土曜日だったので守は進を呼び出してお互いの寮から少し離れた大きなモールへやってきて昼食を一緒に食べていた
「兄さん、とうとう出航なんだね。」
「あぁ…随分またされたけどね。…進、いいか?兄さんは軍人だ。万が一の事が起きても
不思議じゃない。この鍵を一つ渡しておく。(カードキーを一枚渡しながら)これは父さん
が済む予定だった地下都市のマンションのカギだ。前もって運んでた荷物がそこに置い
てある。ここから結構遠いからなかなか行けないかもしれないが…一応渡しておく。
それと兄さんのマネーカード…軍に頼んで一枚余計に作ってもらった。これは兄さんの
給料が入るカードだ。お金に困ったらここから使いなさい。地下都市の住所も教えて
おかないといけないな。方角は三浦の方だ。ここはトウキョウシティだから結構遠い
だろう?」
「兄さん…ちゃんと帰ってきてね…」
「あぁ…還ってくるよ。でも軍人だからな…」
進は無言になってしまった
「大丈夫だよ。今すぐ敵も火星に攻めてくると思えないんだ。3か月の間に何もなければ
ちゃんと還ってくるし…。三か月と言ったらお前はどこまで進んでるんだろうな。体調を
ちゃんとして…頑張るんだぞ?」
進は無言でうなずいた
「随分長く地球にいたよ。今までは月に行ったりコロニーい行ったり金星に行ったりで
結構忙しかったからな…お前と一緒にいられたし…お前がもっと大きくて酒が飲めたら
いいのになぁ…いつか一緒に飲もうな!」
「うん」
それから二人はハブラシやら洗濯の洗剤やら生活用品一式を買いに出かけモールで別れた
「夕食はいいのか?」
そう聞いてくる守に
「彼女いるんでしょ?それに夕食はみんなで食べるって約束したから…一人で帰る」
「ばか彼女なんかいないよ」
「そう思ってるのは兄さんだけじゃないの?まぁいいよ…兄さん、気を付けてね。」
馴れた手つきで敬礼する進に守は答礼すると
「…ったく…気を使うなって。中学生のくせに…勉強頑張れよ!」
そう言って進と守と反対のリニアに乗ってわかれた