yamatoへ…Ⅲ
「そうか…知らなかったよ。」(進)
「それから何度も話し合って…こうしてここにいるってわけ。でもお前がなんで予備生に
引っ掛からなかったのか不思議なんだけど。」(島)
「あ、実は風邪ひいて熱出して休んだ日があったんだ。試験があるって知ってたんだけど
親が学校に成績に響く試験ですか?って聞いたら全くそんな事はないって事だったから
休んじゃったんだよな。それも長く休んだんだ。何回か試験受けてないんだよね。
熱出すと長くてなかなか下がらない体質なんだ。」(進)
「学校で飛び級の試験は受けたんだろ?どこまで行ってた?」(島)
「中学の勉強は全部終わってたかな?多分高校の途中だったと思う。普通の中学に通っ
てたけど勉強は高校レベルから入ってもらったから。島は小学校卒業した時どこまで
進んでたの?」(進)
「同じくらいかな。中学は終わってたからね。多分あいつらも。」(島)
「そうじゃなきゃ付いていけないよね、あの授業…わかってて当然、って感じで進んで行く
んだからさ。今の訓練の方がいいや。机の上の勉強って今同じことして頭に入ってるの
か不安になるよ。」(進)
「なぁんだ、古代もそうなんだ。俺だけかと思ってたよ。」
進と島は今まで訓練の事ばかりで余り自分たちの事を話してなかったことに改めて気がついた。一緒に同じ教室で勉強してた時は暇さえあれば自習してたしシュミレーションが始まるとシュミレーションルームと筋肉トレーニング、射撃訓練と個々に行う訓練が増えたからだ。
時間がなさすぎだ…進と島はそう思った
「ここだよ。」
リニアに乗って30分近く経過していた。降りた駅は小さなステーションだった
「結構遠いね。」
小さなカバンを持って二人は降りた
「こっち、今日は父さんが迎えてきてくれてるんだ。」
島はエスカレーターに乗ると出口に向かって歩き出したので進はその後に付いて行った
ステーションの外に出ると小さなロータリーにエアカーが一台あった。
「父さん!」
島がそのエアカーに駆け寄ると中から島の父親が出てきて
「大介、おかえり。」
と言った。そして進を見て
「初めまして、大介の父親です。君が古代くん?一日しか泊まらないのが残念だが
ゆっくりしていきなさい。さぁ乗って…」
「あ、初めまして古代進です。すみません、お邪魔しちゃって…」
「何言ってるんだ。大介の友達だろう?さぁ母さんが待ってる、ほら、乗って。」
島と進は後部座席に座ると“おねがいします”と言った。