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yamatoへ…Ⅲ

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  「じめった話で悪かったな。」

島が布団を敷きながら進に言った

  「いや…心配してくれてんだろ?親だったら当然だと思うけど。兄さんが訓練から帰る度に
   母さん泣いてたの思い出したよ。」

進がそう言うと

  「俺は絶対に月で大型艦の操縦のライセンスをとってみせる。それだけじゃない…
   この機会にとれるライセンスは全部取るつもりだ。」

島の意識はすでに月に飛んでいた。

  「お前だって艦載機のライセンス取るつもりだろ?チャンスがあればそれ以外、って考えて
   るだろう?エアカーの免許は年齢制限があるけど軍のライセンスに年齢制限があるって
   聞いたことないぜ?」
  「そう言われてみれば…」
  「な?そうだろ?何のために俺たちは厳しい訓練に耐えてきたのか無重力下の訓練シュミ
   レーションとは言え本物さながらの急旋回急上昇急降下の訓練…内臓が出てきそうな
   くらい辛いGに耐えながら必死に訓練して来たんだ。」
  「そうだな…そう思うと早く月基地に行って訓練したくなってきたよ。」
  「そうだろ?まぁ心配かけた分基地から帰って来たらまたここに来なくっちゃかな。その時
   はお前も一緒だからな。」
  「家族水入らずの所にいていいのかよ」
  「いいんじゃねぇ?次郎は喜ぶだろうしさ。」

二人は布団に入ると“おやすみ”と言って寝に入った







翌日二人は次郎に起こされた。次郎はいつの間にか布団にいたことで少し不機嫌だったが朝起きて島も進もいたので機嫌は直っていた

  「おはよう、二人とも顔を洗ってらっしゃい。」

二人は“おはようございます”と母に挨拶してから洗面所に向かうと顔を洗い寝癖も直した

  「うん、二人ともいい男ね!さぁ朝ごはんにしましょう。パンが焼きあがったら持って行くから
   スープとコーヒー持って行って。あなたたちは次郎と一緒で牛乳よ。」

やがてパンの焼けるいい匂いがしてきて父も寝室から出て来た

  「「おはようございます」」
  「おはよう、古代くんゆっくり眠れたかね?」
  「はい、ゆっくり眠れました」
  「そうか、それは良かった。じゃぁたべようかね」

すると次郎が
   
  「頂きます」

と言ったので他全員で“頂きます”と言って朝食を食べた



日曜日の一日は次郎と散歩に行ったり公園に行ったりでアッといまに夕方になってしまった。昼食も夕食も島の家でごちそうになってしまい申し訳ない気持ちだったが島の実家の居心地はとてもよく進は久々に家族と言うものに触れる事が出来てうれしかった

  「またいらっしゃいな。」(母)
  「はい」(進)
  「月から戻って来たらコイツ連れてまた来ます」(島)
  「もぉ~?」(次郎)
  「兄ちゃん達はまた勉強しないといけないんだ。大きな勉強が終わったらまた来るから。
   その時古代も連れてくるからな」(島)
  「やだぁ~」(次郎)

次郎が泣きながら暴れそうだったので母親は次郎をしっかり抱きしめた

  「じゃぁ行こうか。直通のリニアの時間に間に合わなくなるぞ。」

父の言葉でエアカーに乗り込むとさらに次郎の鳴き声が大きくなり足をばたつかせた
  
  「じゃぁ行ってきます。次郎母さん頼むぞ!」
  「おじゃましました。ごちそうさまでした」

そう言うと父はエアカーを発進させた。進は何気なく後ろを見ると母親が座り込んで次郎を抱えて一緒に泣いてるように見えた

  


  「古代くん、大介を頼むね。大介は見かけによらず短気な所がある」

父親がそうポツリと言った

  「いえ…いつも私が面倒みてもらってて…」
  「そうだよ、それにコイツの方が短気だよ」

島も食い下がる

  「ははは、そうか。短気同士か!まぁ殺さない程度なケンカにとどめとけよ。…キミたち
   二人を見てると学校でどれだけ充実してるかがよくわかる。母親が心配性なのは
   当然のことだ。でもだからと言ってそれを避けてばかりいたら自分すら守れない人間に
   なってしまう。しっかり訓練して無事に戻ってきてくれな。」



エアカーは間もなくステーションについた。父は一緒に荷物を降ろす

  「頑張って行って来いよ」

そう言って二人にエールを送る

  「「はい、行ってきます。」」

ふたりできりっと敬礼すると荷物を持ってステーションに向かって歩き出した。最後に2人で大きく手を振って…


作品名:yamatoへ…Ⅲ 作家名:kei