yamatoへ…Ⅲ
「驚いたよ…お前に連絡しても全然返事が来ないからおかしいな、と思って橋本に連絡
したんだ。そしたら倒れたって聞いて…さっき地球に戻ってそのままこっちに来たんだが
もう大丈夫なのか?」
「うん、ごめんなさい。心配かけて…白血球の数値が上がりすぎてたからキツイ治療した
んだって。だからちょっとダルさが残るんだけど…。でも大丈夫だから…月曜日も学校
行けるし…ここから通う事になるらしいけどさ。」
「そうか…ならいいけど…橋本が言ってたぞ?無理させて悪かったって。兄さんも言った
よな?体調が悪かったら自分で言いなさい、って。お前これが戦闘中だったらどうする
つもりなんだ?お前をかばって死ぬ人間が出るかもしれないんだぞ?もしも艦載機に
乗っててお前が操縦してる時に倒れたら後ろのヤツも道ずれになっちまうんだぞ?
みんなと友達になれたのか?友達に頼ることも大事なんだぞ?」
守はそう言うと
「お前の顔見たら安心してハラ減った…ちょっと何か買ってくるからな。何か食べたい物
あるか?」
守はそう言うとマネーチップと通信機を持って出ようとしたので
「兄さん、食べ物じゃないんだけど欲しいものがあるんだよね。」
進はそう言うと以前守の寮の図書館にあった本を買ってきてほしいと願い出た
「そうか…じゃぁちょっとモールに行かないとだめかもしれんな。少し時間がかかるかも
しれないが…」
「平気だよ。帰って来たばっかりで悪いけどお願いね。」
守は“行ってくる”と言って部屋を出て行った。進は今大学の講師のもとで宇宙学を学んでいる。以前守の寮でよく読んでいた本で勉強した事が随分参考になってることを思い出しまた読んでみたくなったのだ。出来れば借りるのではなく手元に置いてたまに読みたい本だった。
(きっと今読むと当時よく解らなかった事が理解できてるはずなんだ。そしたらきっともっと
おもしろく読めるだろう…)
進は守の帰りを楽しみに待った
結局守は2時間ほど戻ってこなかった。戻って来た時は進の新しい下着やら靴下やらを買い揃えミニキッチンがあるのをいいことに明日の朝食分まで買ってきていた
「勉強なんか退院してからしろよ」
そう言いながら本のチップを渡されたが
「勉強じゃないよ。読書だよ。これねすっごいおもしろいんだ。いつか…この著者に会って
話してみたいよ。でも著者がSだからね…誰だか分らないよなぁ…」
進はそう言って笑った
「本当だ…めずらしいな。だいたい名前は明記されてるんだがなぁ…よほど素性を知られた
くないんだろうな。」
守もチップの表面を見ながら言った