yamatoへ…Ⅳ
「…水田さんにお願いします、って連絡しろ。今、すぐに。」
山本はそう言うと進の通信機を勝手にポケットから取り出すと進に手渡した。
「お前のため…将来の俺たちのため、だよ。」
加藤もそう言って背中を押す。進はしばらく通信機を見つめて小さなため息をつくと意を決したように水田へ連絡した
<はい、こちら水田。古代くんね?>
画面に水田が映っている。
「はい、お疲れ様です。(敬礼して)先程のお話ですが…」
<…待ってたわ…どう?考えてみた?>
「まだ頭の中でどうしたらいいのかわからないんですが…やってみようと思います。」
少し不安な気持ちを抱えているのですっきりと返事が出来ない自分がいやで最後は全てを飲みこむようにしっかりと言えた
<そう、良かったわ。ありがとう。じゃぁ早速砲術科の方へ連絡するわ。>
水田はそう言うとすっきりとした笑顔を画面に向けて通信を切った
「よし、古代頑張れよ。」
山本と加藤は両肩に手をかけた
「なに?」
訓練から帰って来た島と相原は山本の部屋に呼び出されていた
「だから古代が砲術科の移るって。水田さんが推薦してくれたんだ」
山本が進を代弁する
「本当か?」
島が進の顔を見てもう一度訪ねると進は黙ってうなずいた
「島くんが操縦士で僕が通信士、加藤君と山本くんが艦載機乗りとして乗り込んで古代
くんが第一砲塔の砲手か…メインクルーとして戦闘指揮を執るなんて言うのもアリかも
しれない?」
相原は運と先の未来の話を言ってみる
「俺たちもそれを見越して説得したんだ。」
加藤がちょっと偉そうに鼻をこすった。
それから一週間がアッといまに過ぎた。水田たちと一緒の訓練の最終日一緒に食事することになった。以前のお店に集合となった
「水田さん」
Bのメンバーが全員並んだ
「お世話になりました。」
新しい戦艦に乗り込みが決まっている乗組員も水田の横にいた
「秋山さんも…みなさん…頑張って下さい」
地球の戦艦が謎の敵と同等に戦えるのかまだ未知の段階で直接戦った地球人はまだいなかった。
「いえ…こちらこそ厳しい事をたくさん言いました。でも…現場に行けばそれ以上です。
艦載機で出撃して生きて帰ってくる…とても難しいことなのです。一度出れば無傷で
帰ることは難しい…それでも一つしかない命を守るために出来る事はすべて…伝え
られることはすべて後悔しない様にしたいんです。こんな私について来てくれて…
本当にありがとうございました。ここには新人が来たばかりでとても優秀ですがまだ
荒削りでもっと一緒に訓練したかったです。後任の責任者の佐藤さんに引き継ぎして
いますが皆さんも一緒に助けてあげてください。それとさっき申し伝えたように古代くん
が砲手として砲術科に移ることになりました。これからひょっとしたらどこかで一緒に
乗り込んだりするかもしれません。その時はかわいがってあげてください。」
水田が三人を振り返ると進が一歩出て
「短い間でしたがお世話になりました。艦載機の訓練は毎日ありますが時間が短いので
しっかり集中して今まで教えてもらったことを忘れないように頑張りたいと思います。
いろいろありがとうございました」
そう言ってお辞儀をするとどこからともなく拍手が起きた